第二話 未来と過去
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)は立ち上がり大声で言った。
その威勢はいい。だが、ここに立つにはまだ早い。
「では聞くが。貴君は、栄光ある未来と栄光のあった過去。どちらを取るかね?」
「……え?」
「なに、簡単な質問だ。
未来と過去。二択のうち、どれを選ぶ?」
実に単純な質問に若い男は戸惑う。
いや、この質問の意味を理解したからこそ解答に躊躇しているのだろう。
「未来はこれから先の事。
過去はこれまでにあった事だ。
ギャラルホルンを築き上げた千代達が未来を選択し続けたからこそ今のギャラルホルンがある。今のギャラルホルンは未来を選択し続けた結果なのだよ」
「……」
「貴殿の言い分も解らなくもない。だが、過去の栄光に囚われるな。今はガンダム バエルよりも、鉄華団 オルガ・イツカを名乗るテロリストの話をしようではないか」
そう言うと、若い男は黙ってその場に座った。
その表情は、納得は出来た。否定もできない。だが、それでも……と言いたげな顔だった。
だが、それでいいとラスタルは思った。
若い男はあの男に似ている。仲間を想い、部下を想い、国を護りたいと一心に願っていたあの男に。だからこそ、一度立ち止まり考える機会を与えた。あのままいけば、あの若い男はあの男の末路を辿ることになる。あの男の同じ思想を抱いてしまう。
あの男……イオク・クジャンと重なって見えるのは歳のせいだ。そう、老いぼれの押し付けだ。
儚げに残る、記憶の片隅。
ラスタルは己を支持し続けてくれていた男を思い出す。今はそんな事を思い出すべきではないと解っていても彼の事が頭から離れない。
ラスタルはティーカップに注がれた熱いお茶を一口。
────今は、鉄華団 オルガ・イツカを名乗るテロリストの議題に集中せねばな。
そう決心し、ラスタルは頭の中で渦巻いているイオク・クジャンを振り払った。
だが、まぁ。
この会議が終わったら、墓参りに行こう。
そう、思った。
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会議は数時間に渡り行われ、最終的には二つの意見に別れた。
一つは鉄華団 オルガ・イツカを名乗るテロリストと奪取されたガンダム バエルの捕獲。
二つ目は交渉による和解。
二つ目は不可能に近いものだが、極力の戦闘を避けることを優先するなら選択肢としては間違っていない。
だが、それは選択肢としてだ。
火星連合議長 クーデリア・ オーガス・ミクスタ・バーンスタインは一つ目の意見。鉄華団 オルガ・イツカを名乗る偽物とガンダム バエルの捕獲を支持した
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