第二話 未来と過去
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ことはない。
だが、ガンダム バエルが鉄華団を名乗る何者かに手によって強奪されたとあっては────。
「一体、どうやってガンダム バエルを……?」
ここに集まる者全て、驚きを隠せずにいた。
秘匿され続けていたガンダム バエルの存在を知り。それを奪取した鉄華団 団長 オルガ・イツカを名乗る謎の男。
不可解な謎と疑問が入り交じり、ザワつく会議室。15年前に死んだとされる鉄華団のオルガ・イツカ。死体は確認されておらず、生きていても不思議ではないが……何故、今になってこのような反抗に出たのか?
あのオルガ・イツカは本人なのか?
それともオルガ・イツカを名乗る偽物なのか。いや、それは別段、大した話ではない。今回の議題はオルガ・イツカの生死ではなく、ガンダム バエルの強奪経緯だ。
15年前のクーデターのように悪用される可能性が高い。
ガンダム バエルはギャラルホルンの象徴。バエルに認められし者はギャラルホルンを統べる者とさえ言い伝えられている。その存在を悪用し、ギャラルホルンを地に貶めようとしているのなら────。
「無駄な事を、」
それは呆れた声だった。
呆れ過ぎて思わず、言葉を口から零してしまった。
ギャラルホルン総司令 ラスタル・エリオンは溜息を付く。
バエルが誰の手に渡ろうと今のギャラルホルンには何の痛手もない。
15年前ならいざ知らず、今のギャラルホルンの内情ならガンダム バエル程度の存在では揺るぎもしない。
それなのに、ここに集まる者達の殆どは血相を欠いている。
今のギャラルホルンにこの手の揺さぶりは通用しないというのに────脆弱な者達だ。
そんな事よりも今は鉄華団を、オルガ・イツカを名乗る何者かを議題するべきだろうに。
今のギャラルホルンにガンダム バエルの存在[カード]は無意味に等しい。恐らく、オルガ・イツカを名乗る男もそれは理解しているはずだ。それでもなお、ガンダム バエルを強奪する理由はなんだ?
そして、その強奪の手口も曖昧だった。
潜入された形跡は残っておらず、死人も出ていない。あるとすれば怪我人と大破したモビルスーツ一機のみ。それ以外は何も無いのだ……。
報告によればガンダム バエルを逆奪した者は「鉄華団のオルガ・イツカ」と名乗り。我々、ギャラルホルンに『宣戦布告』を宣言した。
と、ここまでしか未だに解っていない。
謎ばかり……だが、これはいい機会だ。
これを機会に、ギャラルホルンは更に巨大化できるかも知れないとラスタル・エリオンは判断した。
民主主義を導入したギャラルホルン。
民の言葉を聞き入れ、民と共に歩む軍隊。
新たな障害の存在を国民に促し、これをギャラルホルンの手で討ち取る。そうすればギャラルホルンの地位は更に高まる事だろう。
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