第二話 未来と過去
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ぉ!」
「知らないよ。そんなことより、早く離して」
「ウォォォォッ、アカツキ!!」
俺は、どうやら褒められているようだ。
それを見てガッツポーズを決めるグライア。中年のオッサンに抱きつかれるのは嫌だけど……褒められるのは嫌じゃなかった。
今日は眠らず、授業を受けていた。
相変わらず、授業に興味は持てないけど自分で問題を解いてノートの空白を埋めるのは意外と楽しかった。
だが、授業を真面目に受けていなかったツケが回ってきた。
「……」
解らない。
さっきとは問題の解き方が違う。
問題の解き方は教科書に書いてあるけど、それを解くために必要な公式がよく解らずにいた。
「困ったなぁ」
空を眺め、肘を付いた。
いかにノートの空白を埋めるのが楽しくても問題が解けなかったら意味がない。
はぁ、と溜息を付くと。
────トントンっ。
背中を数回、指でつつかれた。
後ろに振り返ると、グライアはノートを差し出してきた。
「ん?」
「問題、解んないでしょ。これに解き方が書いてあるからこれを見て」
小声で、先生には聴こえないようにグライアは言った。
「でも、これが無いとグライアは問題、解けなくなるんじゃあ」
「ふっふっふっ。この程度の問題ならノートなんか見なくても余裕よ。ほら、早く。先生に気付かれちゃう」
「……分かった。ありがと」
ノートを受け取り、感謝の言葉を述べる。
綺麗なノートだ。汚れ一つない。
俺のノートとは大違いだ。
ノートを開き、書かれている内容を確認すると。
「字、綺麗だな。それに……わかり易い」
勉強の教え方も上手くてノートもわかり易い。これなら解けなかった所も解けそうだ。
────ん、これって……。
今やってる問題の解き方が簡単にまとめられていた。
字も新しい。さっき、書かれたばかりのようだ。後ろにチラッと振り返るとグライアは小声で「別に、アンタの為に貸してやったんじゃないんだからねっ」と顔を赤くする。
どうやら、俺の為にわざわざ問題を解くための公式をグライアなりにわかり易く書き留めてくれたようだ。
これは、後でちゃんとお礼しなきゃな。
「……へぇ」
まずは解らなかった所を見直して、問題の解き方を考える。そして、グライアのノートに書かれた問題の解き方と見比べ自分のノートに記入した。
これで、合ってると思う。
確信はないけど。難しい問題を解けた達成感は感じられた。この調子でやってない問題もやっていこう。
……。
…………。
………………。
…………。
……。
気付けば休み時間になっていた。
勉強に夢中になりすぎて休み時間を迎えるな
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