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レーヴァティン
第四話 村で聞くことその十五

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「それでこうして言える」
「成程な、そうした場所にも入るものなんだな」
「後でこうして役に立つこともある」
「俺は書道をやってた」
「書道か」
「これでも三段で今もやってるんだよ」
「全くそうは見えない」
「それでもやってるんだよ」
 書道、それをとだ。久志はこのことはムキになって言った。
「今度四段になるからな」
「フェシングもやってか」
「書道もな」
 こちらもとやはりムキになって言う。
「やってるんだよ」
「字は上手いのか」
「自信もあるぜ」
「かなり下手なイメージがあるが」
「むしろこっちの方が得意かもな」 
 フェシングよりもというのだ。
「俺は」
「本当に以外だ」
「ったくよ、えらい言い草だな」
「見た目から言っただけだ」
「人は見た目で判断するなっていうだろ」
「オスカー=ワイルドは違う様なことを言っていたが」
「あの人がか?」
 久志もワイルドのことは知っていてすぐ反応を見せた。
「確かホモでその件で捕まってるよな」
「そして牢獄に入った」
「その人がそんなの言ってたのかよ」
「それは否定出来ないという様なことはな」
「そうだったのか」
「人はどうしても見た目から判断する」
 現実問題として、というのだ。
「だから俺もそうした」
「そんなことするな、とにかく俺は書道も出来るんだよ」
「そして字も奇麗か」
「そうだ、見て驚くなよ」
「では見た時に驚こう」
「今じゃないんだな」
「今は見る機会がない」 
 だからとだ、英雄は冷静な顔で返した。
「だからいい」
「相変わらず素っ気ないな」
「それが俺だ、ではだ」
「ああ、朝になったらな」
「テントを畳んで出発だ」
「神殿に向かってな」 
 行き先は決まっていた、そしてだった。二人はこの日はテントの中で寝た。そのうえで朝の日の出と共に朝食を食べて出発した。


第四話   完


                        2017・1・27
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