第3話「Smart Links」
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務所の端のクローゼット内に掛けてあったベストを着ると、さっさと事務所から出ていこうとする。
「ほらほら、付いてかないと置いてかれるよ」
「え、あ、はい……」
平然と護衛対象を置いていこうとする双樹に若干面食らいつつも、絵里は直ぐに駆け足で後を追う。そんな二人を見送った健はニコニコと振っていた手を降ろして、鋭い視線を窓の外に向けた。
「――さて、どう来る?」
◇ ◇ ◇
――今回のターゲットは、貴方に任せます。
――俺が?承知したが……相手は戦闘向きの能力じゃ無いんだろう?過剰戦力じゃないのか
――きっと、彼女には護衛として双樹兵児が付いているでしょう。だからこその貴方ですよ
――あのよく判らん男か。『Smart Links』……まだ能力内容までは割れていないんだったな
――はい。しかし、これまでの情報から、防御系統の異能ではないかと推測されています。彼の展開したフィールドには、銃弾すら弾かれたという報告も。
――突破は不可能か?
――いいえ。一度対物ライフルで狙撃した際は、その防御を貫通しました。当たる事こそありませんでしたが……一定以上の負荷が掛けることが出来れば、破壊できるでしょう
――成る程、だからこその俺……か。
――貴方の異能であれば、あの防御を抜けるのも容易いでしょうね。万が一の為に狼牙を付けておきますが……『狩人』たる貴方には、不要だとは思いますけどね。
――なにせ、彼らの長は三國健ですから。
――。
――――。
――――――。
「はぁ……っ、たく、人混みは嫌いだってのに……」
双樹は半ばほど閉じられた瞳で気怠げに街を見渡し、溢れ返る人混みを視界に入れると同時、心底ウンザリした様子で溜息を吐いた。二人の間には全くと言ってもいい程に弾んでおらず、気まずい雰囲気だけが二人を取り囲んでいる。
流石に耐えかねたのか、絵里がふと思い出した風に口を開いた。
「そういえば……探偵社の社長って、誰なんですか?」
「健さん。社長と言いながらあんなんだがな……ったく、もうちっと慎重に動けっての……」
「あぁ……」
普段のあの様子と双樹のこの様子から、如何に彼が好き勝手やっているかが伺える。思わず苦笑いしていると、しかし双樹は少し考えるそぶりを見せ、言葉を付け加えた。
「とは言っても、あの人は食えない人でな。何を考えてるのかまるで分からん。この探偵社の最古参はあの人と達也だが、多分達也も分かってない」
「何を考えてるの
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