第3話
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「懐かしい匂いがする。お母さん?でも、微妙に違う。お父さんがいたら分かるのに」
「どうかしたんか、恋?」
「懐かしい匂いがした。でも、気の所為」
「懐かしい?なんや、家族とちゃうんか?」
「もう会えないはずの家族の匂い。死んで、ちゃんと綺麗に埋めた。お父さんと一緒に」
「へぇ〜、そんならけったいな話やな。にしても初めて狼以外の家族の話を聞いたな。恋のお父さんはどんな人なんや?」
「お父さん、私に何でも教えてくれた。料理も家事も、動物の世話も、読み書き計算も、武器の使い方も手入れの仕方も、何でも知ってて教えてくれた。私よりも弱いのに守ってくれた。私に家族のぬくもりを教えて、与えてくれた。とても、大切な人。だけど、もう会えない」
別れた時の私なら自分から別の世界まで探しに行けた。今の私じゃ、この世界の中しか探せない。スコルとハティとクロスに再び出会えたのだけは幸運だった。
「そっか。すまんな、こんなこと聞いてもうて」
「別に良い。大事な物は今も此処にあるから」
家族の皆がいた、あの大事な思い出は今も胸の中で輝いている。一人だった時、祭り上げられていた時とは違う、私が変わり始めた思い出。微妙に違うけど懐かしい匂いを嗅いでちょっとしんみりする。
「会いたいな。お父さん、お母さん」
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