プロローグ
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」
担任の小橋先生がやってきてHRを始めだした。小橋先生は女性の先生だ。第一印象が小柄で割と美人な先生だと佑真が思っていたことをクラスメイトに言うと、「なんだよお前、小橋のこと好きなのかよ〜」とからかわれたことがある。その際にあわてて「誰があんなババァなんか」とごまかしたので、ババァ呼ばわりして申し訳ないと内心思ったことがある。
「はい、みんな席について!」
小橋先生がもう一度言った。
佑真が時計を見上げると、もうHR開始時刻を少し過ぎていた。
ガタガタと、クラスメイトが席に着き始める。なかなか戻らないやつもいるが、みんなが着席するとそいつも急いで席に戻った。コウイチも「しかたないなー」と席を立った。
「キリーツ!礼!」
クラスの委員長が高くてよく響く声で号令をかけた。
「じゃ、出席取るわよ。……赤沢君!」
はーい、とクラスのみんなの名前が呼ばれていく。
しばらくしてすぐ後ろで、ヒソヒソ何かを話している声がした。女子の声だ。
「今日の一時間目の社会、小テストあるらしいよ」「え……マジ?最悪」
まじかよ、最悪、と佑真も思った。まったく勉強なんかしていない。
「三島君!」
返事がなかったので、ヒソヒソ声が目立った。
「あら、三島君はまだ来てないのね」
おかしいな……と佑真は首をかしげた。
三島というのはケイの名字だ。
「三島君は今日来るって言ってたから、きっと遅刻ね」
小橋先生はそういって出席簿に何か書きこんだ。
しかし、佑真は疑問に思った。あのケイが遅刻なんてするだろうか?
「三島、学校来るのかよ」
隣の席の奴が話しかけてきた。
「ああ、来るって言ってたけど……」
「マジか。俺あいつの顔覚えてねーよ。学校休みすぎて。てか、お前休んだ理由知ってんの?」
「まあね……」
嘘をつく理由もないので答えた。
すると、相手は「フーン、なんで休んでるんだよ」と意外と興味ありげに聞いてきた。
佑真はちょっと困った。話してしまうと、噂になってしまうかもしれない。と答えてから思った。
「はっきりとは知らないんだ。あとでケイに聞いてよ。当事者だろ」
「ええ?……俺、あいつと仲良くねーよ。お前、知ってるんじゃないのかよ」
「……だから、詳しいことは知らないんだ。ただ病気じゃないってことだけは知ってる」
「なんだ、そういうことかよ」
相手はどうやら納得した様子だった。
佑真はほっとして前を向きなおした。ケイのことだ、ばれても困らないかもしれないが、一応友人に「ゲームつくって学校さぼってるオタク」の称号が与えられるのはあまりいい気がしない。
元々ケイは変わり者で有名だったので、学校を長く休みだしたときもそこまで不思議がられなかった。何を
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