第7章 聖戦
第166話 ゲルマニア、ロマリアの現状
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「一カ月。それだけの時間があれば何とかなる、と思う」
結局、かなり歯切れの悪い言葉。
腕の中の少女の吐息、それに心臓の鼓動を強く感じながら、しかし、まるで色彩や潤いと言う物に欠ける思考で眉根を寄せる俺。
そう、未だこの辺りがかなり曖昧なのだが、前世では聖地に虚無の担い手とその使い魔の都合八人が揃う事で、其処に始祖ブリミルらしき何モノかが現われた……と思う。今回の人生では、俺のその辺りに関する記憶が復活するのが遅れたのと、地球世界に流されるタイミングの悪さが相まって、虚無の担い手や使い魔に対するアプローチが何も為されて居らず、その結果、相手方の描いたシナリオ通りに事態が推移している様に思えるのだが……。
ただ、虚無の担い手に成る可能性の高い連中を俺の元に集めた前世でも、聖戦や始祖ブリミルらしき存在の降臨を防ぐ事が出来なかった以上、ここまでの展開が相手の思い通りだろうが、そうでなかろうが意味はない。
要はここから先の展開が相手の意図と違った形になれば良いだけ。
良いだけ……そう思い込もうとする俺。但し、その部分にも当然のように僅かな不安が顔を覗かせている。
それは、その程度の事は当然、ロマリアやゲルマニアの方も理解しているはず。……と言う部分。
まさか、ここまでの流れが順調に進んで来ているので、これから先も問題なく、自分たちの思うがままに進む……などと考えているはずはないのだが。
確かにアルブレヒトに関しては前世でそう言う人物……調子に乗っている時には特に、自分に都合の良い事実だけしか見えない人物であったのだが、聖エイジス三十二世に関してはそれほど操り易い人物ではなかったように記憶しているのだが……。
おそらく前世の結果から、相手の補強ポイントとしてゲルマニアにテコ入れをされたのが今回の人生と言うトコロか。
厄介な真似をしやがって。そう、心の中でのみ悪態を吐いてみる俺、……なのだが。
ただ何にしても。そう少し強く決断するかのように思考を展開させる。悪態を吐いて居ても意味はない上に、何も始まらない。それに這い寄る混沌に関して言うのなら、おそらく彼奴はゲーム感覚ですべての事を為していると思うので、当然、どちらかの側が一方的に強いのでは見て居て面白味に欠ける。故に、相手側。ブリミル教を強く信奉している連中に戦力の補強を行うのは道理だと思う。
そう。何にしても俺が直接動く次の一手はこれしかない。
それは――
「先ずは四の四を聖地に集結させない為に、シャルロットを奴らの手から奪い返す」
俺の口からシャルロットの名前が出た瞬間、彼女の姉から少し微妙な気配が発せられた。
感覚としては陰陽入り混じった気配。
ただ、タバサだって人間。表面上は気に
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