第7章 聖戦
第166話 ゲルマニア、ロマリアの現状
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ートル以上の場所で浮いている理由や、其処に人が問題なく……通常の大地の上と同じレベルで暮らせている理由など分かるはずはない。普通に考えると此処には何らかの特殊な魔法が作用しているのでしょうが、それをロマリアが行って居るとは考えられないので、彼らに取っては神の深遠なる意図としか答えられないはず。
いや、そもそも俺の考えでは、そのアルビオンが蒼穹に浮かんだのはそれほど前の話だとは思ってはいない。おそらくここ十年以内の事。もしかすると、俺が最初に召喚された時間の一分前にそう言う状況が創り出された可能性すら存在している、……と思っているぐらいなのだから。
……当然、その考えに対する強力な根拠と言う物も持っている心算。
「不明です」
ただ、これで大量の兵をガリア侵略に回す事が出来なくなった。
少なくとも一時的には。そう答えるジョルジュ。そしてその答えは、俺の考えとも一致する内容。
但し、故にこれから先の展開が予想し難い状況なのもまた真実。
最悪、ロマリアにしても、ゲルマニアにしても、内部の混乱など気にせず、侵略戦争を続ける可能性がある……と言う事。
何故ならば、彼らが表向きに掲げた大義は聖地をエルフの手から取り返す事。そうしなければ神より懲罰が下される。……と言う内容であったから。
もし……。
もし、その大義を彼らの……ゲルマニアの主要な貴族や司祭たち、それにロマリアの司祭たちの多くが本当に信じているのなら。単に他国に対して侵略を行う為の御題目などではなく、本当に神の怒りが頂点に達して居て、聖地をエルフの手より奪い返さなければ人類に――自分たちに神からの懲罰が下されると信じて居たのなら、少々の国内の混乱などに目もくれず、最初にその大義に対して小賢しくも異を唱えたガリアを。そして、次に自分たちに取っての本当の敵であるエルフに対して打擲を加える可能性もある。
それに、もしそれが本当に、彼らが信じている神の意に沿う行動ならば、その国内で発生した混乱など、目的の聖地奪還が果たせられれば直ぐに収拾がつく……と考える可能性は高い。
何事にも神の御心に従う願いならば、神はその願いを必ず叶えてくれる。彼らはそう信じているはずだから。
国民や一般的な信者など幾らでも変えの効く消耗品に過ぎない。もし、ロマリアの教皇やゲルマニアの皇帝がこう考えていたのなら。そして、彼らを取り巻く枢機卿たちが神の怒りを和らげる方を優先したのなら。……この両国の内乱騒ぎは何の時間稼ぎにもならない。
その場合は流石にこれから先に行う予定の色々な小細工が間に合わなくなる可能性が高く成り、結果、予想以上の被害を受ける事となる。
確かに戦争なのだから少々の被害は仕方がない。そう割り切れたら楽なのだが……。
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