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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第166話 ゲルマニア、ロマリアの現状
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言う事。

 ゲルマニア、ロマリア共に地獄の沙汰も金次第。これが大手を振ってまかり通っている国。まして、ガリアのように絶対的な権力を持つ王に因る親政が行われている訳ではなく、議会や枢機卿団、その他にも多くの宗教家たちが政治に力を持っている以上、その中に汚れた奴が一人や二人は存在する。
 其処を上手く突けば、内部に不協和音が発生するのは間違いない。

 まるで優秀で清廉潔白な人物が行う独裁制と、無能な、……合議制だけど明らかな衆愚政治。どちらの方が選りマシか、そう言う問い掛けに対する明確な答えのような状況。
 目の前のイケメン貴族を瞳の中心に抑えながら、思考は別の場所を彷徨する俺。
 確かにコレ……両国の暴動騒ぎで少しの時間稼ぎは出来たと思う。

 ただ――

「ロマリアやゲルマニアはこれから先にどう動くと思う?」

 自らの国内に争いがあるような状態で他国に対して攻め込むとは思えない。
 普通に考えるのなら、先ず起きて仕舞った騒動の鎮静化を図る。元々、不公平に対する不満が発端の暴動を収めるのはそれほど難しいとも思えない。
 例えば、ゲルマニアの場合は地域間の格差。民族や人種に対する差別の問題なのだから、それをある程度一律にする……同じ帝国の臣民として以後すべてを同列に扱う。これだけの事を譲歩するだけで次なる反乱が起きる可能性は格段に減る。
 ロマリアの方は、俺が行った贖宥状に対する質問や、大隆起に関する疑問に対して誰もが納得する形の答えを発表すれば事が足りる。少なくとも、聖地を奪還しない事が神の怒りを呼び、全ての大地がアルビオンの如き浮遊大陸と化すと言うのなら、既に神に見放されたはずのアルビオンの地で問題なく人々が暮らせて行けて居る理由の説明ぐらい行うべき。
 もし、その内容に俺自身が完全に納得出来たのなら、明日にでもその奴らが言う聖地。俺から見ると非常に危険な不浄の地をエルフから得る為の策を考える。
 ……その程度の覚悟なら常に持っている心算。

 但し、どちらも難しいと思うが。……かなり皮肉に染まった思考でそう考える俺。
 何故ならば――

 ゲルマニアの方の問題は住む地域や民族によって国民の中に階級差を付ける事に因り、より搾取し易い環境を作り出している事。其処に、帝国の臣民はすべからく平等である、などと言う思想を導入すれば国家自体が崩壊に向かいかねない。
 ロマリアの方はもっと難しい。
 そもそも、その贖宥状を売りさばいて居る理由は、ロマリアの枢機卿団に対して行う工作費用を捻出する為に売りさばいている連中がほとんど。これを止めさせると、自分たちの懐に入って来るお金がかなり減る。
 大体、贖宥状を売りさばく事を禁止すれば、ゲルマニアとロマリアの同盟関係が崩壊して仕舞う。
 更に、アルビオンが高度三千メ
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