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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第166話 ゲルマニア、ロマリアの現状
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そう考え、性悪軍師の如き雰囲気を発し、少し無理矢理の感を滲ませながらも片側の頬のみで笑みを浮かべて見せる俺。

 そう、そもそも、ロマリアにしても、ゲルマニアにしてもガリア(他国)の内側に手を突っ込んで来て引っ掻き回す心算なら、コチラ側からも反撃で内部の不満分子に火を付けられる事は覚悟して置くべきでしょう。
 大体、コチラで諜報の中心に存在するのは真なる貴族たち。こいつ等は夜の闇に紛れて活動する事を得意とする上に、中には蝙蝠(こうもり)や狼、はたまた霧に姿を変えたり、身体の一部分だけを変化させたりする事も出来る連中。こんな奴らの侵入を防ぐ為の結界術が表向きに存在していないハルケギニア世界の系統魔法では、この手の策謀はやり放題となるのは間違いない。

 特にゲルマニアは地域間の兵士の扱いに差が有り、俺の感覚で言うと、地球世界のドイツやオーストリア辺りの出身者の待遇は良いのだが、北部になれば成るほどその扱いは粗雑な物となる。
 更に言うと陸軍と空、海軍の兵や士官の扱いにも差が有る。基本的に陸軍が上。それ以外は圧倒的に下と見られる為に、内側には常に不満が蓄積されているような状態となっていた。
 そう言う、現状に大いなる不満を持つ方々の枕元に、告げる者聖スリーズが立ち……。

 対してロマリアは宗教的に統べられた国故に、表面、外側から見ると一枚岩のように感じるのかも知れないのだが……。
 但し、この世界の宗教は日本の道を極められた方々と同義語のような雰囲気がある。
 まぁ、贖宥状(しょくゆうじょう)を売りまくって、その儲けたお金を使ってゲルマニアの皇帝位を手に入れられる世界ですから、その辺りは推して知るべしでしょう。
 そして、何処の世界にもそう言う事(業界用語ではしのぎ)には長けていない、どちらかと言うと清貧と評すべき方々も居るもの。そう言う方々の枕元に聖スリーズが立ち……。

 ついでに言うと、ガリアの王太子としてロマリアやゲルマニアが送り込んで来た使節たちに謁見した俺が行った事も、ある程度、この流れを加速させた可能性もありますか。
 ゲルマニアやロマリアが送り込んで来た使節の連中との、非常に心温まる謁見の場を思い出し、少しの陰気を発して仕舞う俺。

 それは……。六韜(りくとう)に因ると、
 交渉の為に隣国より使者が来て、もし、その者が優秀ならば何ひとつ与えず返せ。
 もし、その者が無能ならば大いに与え歓待せよ。
 ……この内容をかなり正確に履行しましたから。
 もっともコレは、表向きに。あからさまに差を付けた、と言う訳ではなく、裏側に差を付けた……と言う事。
 それぞれが国に帰った後、妙に羽振りが良くなったり、上からの覚えが目出度くなったりした人間は、実はガリアから見ると無能で、比較的操り易い人間だったと
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