第7章 聖戦
第166話 ゲルマニア、ロマリアの現状
[5/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を与えられた家の姫。そして父親の方はガリアの侯爵。その高貴な血筋に加えて、母親の方はガリア王家が継いでいる夜の一族の血を。父親の方は東方の龍の血を継いでいる家。
この家に産まれた俺は……かなり問題のある子供だったので、その辺りの教育は少しお座成りにされたが、養女として引き取られた彼女の方はそちらの教育がきっちりと行われたはず。
そう、最初の彼女に与えられた役割。常に俺の傍に居て……。蒼髪の男子であったが故に、何故か子供が産まれ難く成っていたガリア王家に王太子として入らなければ成らない運命であった俺の傍らで、抜群に高貴な家の血を継ぎながらも父親に捨てられると言う不幸な生い立ちから、実家や親類、縁者と言う軛から完全に解き放たれ、常に俺を支え続ける片翼としての役割を与えられた女性に相応しい教育を。
そうやって考えると、自ら世間との関わりを断ち、田舎に引きこもって晴耕雨読のような生活を続ける、……と言う事は、自らが持つ能力に対して負っているはずの責務から逃げている。
そう今のタバサが感じて居る可能性はある。
今までは敢えて考えないようにしていた部分。俺が聖戦を無事に生き延びる事が出来るかどうか分からない。その事を最大の理由にして。
その微妙な個所を敢えて抉るような真似をした、と言う事。
……先ほどのジョルジュの台詞は。
「何を自分に都合の良い解釈をしとるんや、オマエは」
そもそも俺は、聖スリーズの予言に因ると聖戦の終わりに死んで仕舞う可能性があるんやから、俺以外の王位継承権一位を準備する方が先と違うのか?
聖戦後の未来の事など後回し。暗にそう言って、この話題を打ち切る俺。
多分、今の彼女は俺がどの道を選んだとしても、其処に僅かな蟠りを残すから。前世の俺ならそれなりの家柄に産まれ、その結果、ガリアの王太子に祭り上げられたのは自身の運命だったと確実に言える。しかし、今回の人生に関して言うのなら、最初の段階で彼女に召喚されなければ、俺はこの世界に関わる事がなかった可能性もある。
このハルケギニア世界に本来なら関係なかったはずの俺を、彼女の方の事情で巻き込んで仕舞った。そう彼女が感じているのなら、俺がどのような道。――それがこのままガリアの王位を継ごうが、田舎に引き籠もって晴耕雨読のような生活を営もうが、其処に何らかの蟠りを感じる事となる……と思う。
しかし……。そう思考を無理矢理誘導する。何故ならばこれは今、考えても無意味な内容だと思うから。それに、この世界に俺が留まる事に彼女が何らかの負い目を感じるのなら、タバサを俺の産まれた世界に連れて行くと言う選択肢もある。
本当にそんな真似が出来るのならば……なのだが。
まぁ、何にしてもまた我が事なれり、……と言う状況だな。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ