第7章 聖戦
第166話 ゲルマニア、ロマリアの現状
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か、それとも三十年戦争の始まりか。時期的に言うと遅い三十年戦争の始まりと判断する方が正解かな。そう考える俺。
しかし、そう告げて来た後、何か意味あり気に俺を見つめて来るジョルジュ。
「何や、何か言いたい事があるのか?」
悪意……は感じない。むしろ陽の気に分類される雰囲気を発して居るジョルジュを訝しげに見つめ返す俺。確かに、本当にソッチ系の人間ならば同性を意味あり気に見つめる時に陰の気を発する事もないと思うのですが……。
ただ、コイツはそう言う業界の人間ではないはず。
俺の視線を受け、しかし、別に大した内容ではないのですが……と言いながらゆっくりと首を横に振るジョルジュ。
そして、
「ですが、そうやってガリアの為に策を練っている様を見ていると――」
次代の王に成る覚悟が出来上がったと言う事ですか。
何か、勝手な思い込みのような内容を口にするジョルジュ。いや、どちらかと言うと、奴自身の願望なのかも知れない。
その瞬間、俺の腕の中の次代の正妃候補から陰陽入り混じった複雑な気が発せられる。
これは――
これは多分、完全な否定と言う訳ではない。ただ、彼女自身が喜んでいる訳でもない。
そもそも彼女の夢……田舎に引きこもり、晴耕雨読のような生活を続けると言うのは前世で俺が彼女に対して語った夢。おそらく彼女はその時の事を覚えて居て、あの時……今生の俺に対して自らの将来の夢だと語ったのだと思う。
もっとも、彼女。今、俺の腕の中に居る少女にしたトコロで、人付き合いが得意で、何時でも多くの友達に囲まれてワイワイやっている……と言うタイプの人間ではない。前世では敢えてそう言う人間を演じていたが、それはそう言う人間を単に演じて居ただけ。
おそらく、前世で彼女に求められていた役割や、俺の両親の教育が貴夫人に相応しいサロンの形成方法や、付き合い方を中心に為されて居た為に、自然とそう言う社交的な人間を演じるように成っていたのだと思う。
彼女の本質は今回の人生のタバサと大きな違いはない……と思う。他者と積極的に交わるよりも静かに読書をする事を好む少女。
故に、半ば本心から、あの時はそう言った可能性はある。
あの時の。この世界に召喚されてから間もない……湖の乙女や、その他の前世から関わりの深い人物たちと再会し、世界に強い影響を与えて仕舞うほどの能力を復活させる前の俺に対して……ならば。
ただ……。
ただ、今の彼女が、これから先の事をどう考えているのか。その部分を推測すると……。
……彼女は前世の俺の両親に因り、高貴なる者の義務。能力を持つ者の果たさなければならない務め、と言う物を教え込まれているはず。
母親はガリア王家のスペア。徳川家に於ける一橋、田安、清水家と同じような役割
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