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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第166話 ゲルマニア、ロマリアの現状
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感じさせる美丈夫。柔らかそうな落ち葉色の髪と、意外に優しげに見えるブラウンの瞳を持つ美青年。
 身長は俺と同じぐらいだと思うから百八十を超えていると思う。但し、完全に成人に達した西洋人らしいマッチョな体型と言う訳ではなく、未だ微かに思春期の繊細さを残した雰囲気。いわゆる長身痩躯と言う感じか。
 西洋人らしい彫の深い顔立ち。ややもすると神経質そうに見られかねないその容貌も、しかし、優しげな瞳が彼の印象を非常に柔らかい物に変えていた。
 正直に言うと、イケメンはこっちに寄って来るな。アッチに行け、シッシ! ……と言いたくなること百パーセントと言う相手。

「もう会議が終わった……と言う雰囲気ではなさそうですね」

 それならば、シャルロット姫の体調不良が理由で会議を中座した、それぐらいの事情でしょうか。
 俺と、そして俺の腕の中に居るタバサを順番に見つめた後、そう問い掛けて来るジョルジュ・ド・モーリエンヌ。一応、サヴォア伯長子と言う表向きの肩書の方で社交界に出入りしているが、しかし、現実には裏の顔。ガリアの諜報組織所属の騎士としての顔の方が俺やタバサに取っては馴染みの深い人物。

「そう言えば今宵は二月(ハガルの月)第二週(ヘイムダルの週)、オセルの曜日でしたね」

 平和ならルペルカリアの祭りが明日、開始されるはずでしたか。
 意味あり気にそう続けたジョルジュ。……と言うか、此方から聞きもしない事をぺらぺらと喋りやがって、こんにゃろうが。そう考える俺。それに、こう言うのを語るに落ちると言うと思うのだが。
 この似非ハルケギニア人。……おそらく転生者め。

 出来るだけ冷たい瞳で目の前のイケメンを見つめる俺。そもそも、俺はそんな無駄な話を聞く為にここで待っていた訳ではない。
 確かに、ここの社交界……かどうかは分からないが、前世で俺が関わったガリアの社交界には、夜会の最中に眠たげな振りをする……と言う男女間の合図があったのも事実なのだが。

「それでは報告は短い目にするとしましょうか」

 殿下がお戻りになられたのは今日の午後。流石に今日はお疲れの事でしょう。
 最初からそう言え。喉元まで出かかった台詞を無理に呑み込む俺。取り敢えず、そちらの方向に自らの思考を誘導し、突如、眠気を訴えたタバサに対する疑念はカット。それに、少なくともある程度、彼女が消耗して居るのは間違いではない。
 ……と思う。

「予定通り、ロマリアのナポリ艦隊とゲルマニアの黒海艦隊で反乱が起きました」

 両国とも、後二、三の火種は燻ぶっていますよ。大きな物で言うのなら、ゲルマニアの北海艦隊やボヘミア地方とかね。
 無言で先を促したのが理解出来たのか、聞きたかった内容を話し始めるジョルジュ。
 成るほど、ボヘミア地方ね。プラハの春
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