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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十八話 第六次イゼルローン要塞攻略戦
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ることなど……」
ロボス元帥の呻くような口調にヴァレンシュタインが顔を顰めた。こうなることは分かっていた。それなのに今更何を……。そんな気持ちなのかもしれない。
「気付いたのは別の人間でしょう。その人間がオフレッサーに忠告したのです」
「別の人間?」
「ラインハルト・フォン・ミューゼル准将です」
ラインハルト・フォン・ミューゼル、ヴァレンシュタインの口調は苦い。そしてヤンの表情が強張るのが見えた。バグダッシュ中佐、ミハマ大尉も蒼白になっている……。
「彼は天才です。こちらの作戦に気付いた、しかし彼はミュッケンベルガーの信頼を得ていない。その意見は無視されたか、或いは最初から進言などしなかったのでしょう」
「何を言っている……」
ロボス元帥が訝しげに問いかけた。しかしヴァレンシュタインは静かな声で話し続けた。
「彼はヴァンフリート4=2でリューネブルクと共に基地を攻めました。そして地獄を見た。おそらくそこで繋がりが出来たのでしょう。何よりあの二人には後が無い、もう失敗は出来ないんです。その事が二人を協力させた」
「だから何を言っているのだ!」
激高するロボスをヴァレンシュタインは冷たい視線で見た。
「まだ分かりませんか? ミューゼル准将がこちらの作戦を見破りリューネブルク准将に知らせた。リューネブルクはそれをオフレッサーに知らせた。オフレッサーは半信半疑だったでしょうが、念のため伏撃態勢をとった。そこに陸戦隊が突っ込んだ、そういう事です」
「……有り得ん」
ロボス元帥は首を振っている。未だ事実を認められずにいる。そしてヴァレンシュタインがもう一度撤退を進言した。
「陸戦隊の撤退を進言します。このままでは損害が増えるだけです。要塞占拠が不可能な今、速やかに撤収させ損害を少なくするべきです」
「総司令官閣下、小官も同意見です。これ以上の戦闘は無益です」
グリーンヒル参謀長がヴァレンシュタインに同調した。反対する参謀はいない、皆視線を合わすことなく俯いている。
「駄目だ、撤退は認められん。態勢を整え再突入するのだ!」
「閣下、ローゼンリッターは連隊長が戦死しているのです。損害は小さなものでは有りません。再突入など無理です」
再突入を叫ぶロボス元帥をグリーンヒル参謀長が諌めている。
「ローゼンリッターなど磨り潰しても構わん! 再突入させよ!」
「!」
信じられない言葉だった。グリーンヒル参謀長が唖然とした表情でロボス元帥を見ている。参謀長だけではない、皆がロボス元帥を見ていた。そしてロボス元帥は目を血走らせてグリーンヒル参謀長を睨んでいる。
「再突入だ!」
「……」
皆、沈黙している。再突入を叫ぶ総司令官、沈黙して立ち尽くす参謀長……。
「参謀長閣下」
ヴァレンシュ
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