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風魔の小次郎 風魔血風録
35部分:第四話 白い羽根の男その四
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しそれは壬生が首を右に捻ることでかわされた。壬生はすかさず木刀をさらに突き出す。それを陽炎の喉元に置いて彼の動きを止めたのだった。
「それまで」
 武蔵がそこで二人を止めた。
「壬生、随分と動きが戻ったな」
「そうだ、武蔵」
 壬生は武蔵に顔を向けて彼に言う。
「私はもう大丈夫だ。だから今度の作戦は」
「いや、まだだ」
 だが武蔵は彼の言葉を退けて首を横に振った。
「御前はまだ傷を癒せ」
「何故だ、もうここまで動けるというのに」
「陽炎」
 武蔵は壬生の言葉には答えずに陽炎に顔を向けた。
「何故術を使わなかった」
「稽古ではないか」
 陽炎は武蔵の問いに涼しい顔をしていた。
「わざわざこの陽炎の術を使うまでもない」
「手を抜いたということか」
「それは違う」
 こう嘯いて返す。
「だから言っているだろう?術を使う場ではないということだ」
「術なぞ問題ではないではないか」 
 壬生は焦りを隠さずに武蔵に言い詰める。
「この通りだ。だから私は」
「そうか」
 武蔵は今の壬生の言葉を聞いて一瞬目を伏せた。それから。
 己の持つ剣を突き出してきた。壬生は咄嗟にそれを後ろにかわす。だがそこで態勢を崩し一回転して着地したのだった。片膝さえついている。

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