巻ノ八十六 剣豪その七
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「それは」
「左様ですか、そこまで」
「剣に生きてきました」
「そしてですな」
「今後の為にです」
まさにそれが為にとだ、根津は宮本に言った。
「お願いします」
「わかり申した、主殿からの願いもありますが」
それと共にというのだ。
「喜んで」
「喜んで、ですか」
「はい」
まさにというのだ。
「そうさせて頂きます」
「それでは」
こうしてだった、宮本は根津と剣術の稽古をすることとなった。だがここで幸村は彼の剣術を見て唸って言った。
「ほう、それは」
「ご存知ですか」
「二刀流ですな」
稽古だから木刀だ、だが宮本は二本の木刀をそれぞれの手に持っている、そうして構えているのだ。
それを見てだ、幸村は言うのだった。
「明の書にもある」
「三国志演義等にですな」
「水滸伝にもありますな」
「あれを参考にした訳ではないですが」
そうした書の劉備や顧三娘等が両手にそれぞれ剣を持って戦っている、それをというのだ。
「しかしです」
「ああした様にですな」
「刀を使います」
「右手と左手でそれぞれ」
「そうした剣術を考えてまして」
「そしてですか」
「今それをです」
根津を見つつだ、幸村に言うのだった。
「この御仁、そして貴殿にもです」
「見せて頂けますか」
「そしてそれがしの剣術の全てを」
それもというのだ。
「お見せしましょう」
「さすれば」
根津は彼の剣術、一振りの木刀を両手で持った普通のそれで宮本と対峙しつつそのうえで宮本と幸村に応えた。
「これよりです」
「宜しいですな」
「お願いします」
「さすれば」
こうしてだ、両者は木刀で打ち合った。宮本は実際に二刀流で来る、根津はその彼に対して一刀で向かうが。
両者は五角だった、激しく長い時間打ち合うが五角だtった。そして。
一刻程そうしてからだ、休憩となった。宮本は汗を手拭いで拭きつつ共に休憩に入った根津に対して言った。幸村と三人で縁側に庭を前にして座ったうえでだ。
「いや、貴殿もかなり」
「腕が立つと」
「はい」
まさにというのだ。
「これはお見事です」
「そうですか」
「はい、隙がないですな」
「そう言って頂けますか」
「動き、特に攻めに」
根津の剣術はそうだというのだ。
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