第十一幕その八
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「駄目なことですね」
「何処かに行ったり野ざらしでいたんだりするから」
ジョージも言うのでした。
「元の場所に戻す、ですね」
「そうよ」
まさにとです、アンは五人に言いました。
「そうしないといけないから」
「そうですね、じゃあちゃんと拭いてなおして」
「そうして物置に入れて」
「それから林檎園に行きましょう」
「釣り道具は戻して」
「お菓子は袋に入れて」
五人はアンに応えて笑顔でそれぞれ言いました。
「林檎園はすぐそこですし」
「十一時に着く様にしましょう」
「そしてその林檎をですね」
「手に入れるんですね」
「そうするんですね」
「そうしましょう」
「それではです」
大佐がここでまた言ってきました。
「早速なおしましょう」
「あれっ、そう言った瞬間に」
ドロシーは大佐の動きを見て声をあげました、見れば大佐は言った瞬間に自ら進んで皆の釣り道具を素早くかつ的確に拭きはじめています。
「もうなおしてるの」
「はい、そうですが」
「ううん、自分から言った瞬間に動くなんて」
「それがこの娘なの」
グリンダはお菓子を袋に収めています、そうしながら自分も釣り道具を拭いているドロシーにお話します。
「いつもね」
「言って、なのね」
「その瞬間に動きはじめるの」
「そうなのね」
「凄く真面目というか」
グリンダが言うには。
「真面目過ぎるのよ」
「働き者過ぎるのね」
「他の娘がやる仕事も手伝うから」
「自分のお仕事だけじゃなくて」
「そこまでしなくていいってこともね」
それもというのです。
「するの、十人分は動いてくれるわ」
「それが私の普通ですが」
「普通かしら」
ドロシーは大佐のコメントを聞いて首を傾げさせました。
「果たして」
「違いますか」
「働き者過ぎよ、ただね」
「ただ?」
「大佐みたいな人もいてくれたら頼りになるわね」
「そうね、けれどそうした娘がいても」
それでもと言うグリンダでした。
「皆が頼りにして怠けたりしたらね」
「駄目よね」
「私も皆に言ってるわ」
それこそというのです。
「この娘に何でもさせない様に」
「注意してるのね」
「そうしているわ、あとこの娘は出来るだけね」
今もせっせと働いてる大佐を見て言いました。
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