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風魔の小次郎 風魔血風録
33部分:第四話 白い羽根の男その二
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第四話 白い羽根の男その二

「烏が随分多いな。その鳴き声も」
「烏の声がそんなに珍しいか?」
「いや」
 紫炎の言葉に首を横に振る。
「我等夜叉、いや忍には似合いの鳥だと思ってな」
「確かにな」
 紫炎も上を見上げた。彼の目にもその烏達が見えた。
「影に生まれ影として生きるか」
「その漆黒の身体もな」
「まさに忍と同じだ」
 また紫炎に言った。
「漆黒の中で生きているのだからな」
「そうだな。では行くか」
「うむ」
 彼等は戦場に赴く。彼等が戦場に向かうその頃。柳生蘭子の屋敷の一室で劉鵬と麗羅が向かい合って正座している。緊張した面持ちで向かい合っている。
「いいな」
「はい」
 言葉のやり取りにも緊張したものがある。張り詰めた雰囲気の中で言葉を交えるのだった。
 劉鵬は右手を横に出した。そして襖の溝を指でなぞる。そこに埃があるのを麗羅に見せて。
「やり直し」
 一言であった。それを聞いた麗羅は困り果てた顔で首を横に振って言うのだった。
「またですか!?」
「当たり前だ」
 劉鵬の言葉は厳しい。
「俺達はここに置いてもらってるんだぞ。だったら掃除もちゃんとするのは当然だ」
「それはわかってますけれど」
「わかったらちゃんとやる」
 あまり忍めいた言葉ではなかった。
「いいな。ほら」
「わかりました」
 劉鵬の差し出したはたきを受け取る。それからまた掃除に入ろうとするがここで。屋敷の庭の方から騒ぎ声が聞こえてきたのだった。
「おお、やってるな」
「そうですね」
 二人はそちらに顔を向けた。
「項羽だな」
「それと小次郎君」
「またあいつ出ようとしていたのか」
 劉鵬も呆れ顔だった。
「困った奴だな、本当に」
「小次郎君にも困ったものですね」
「全くだ」
 そうは言いながらも微笑んでいる劉鵬だった。
「あんな手間のかかる奴ははじめてだ。いや」
「俺でも思い出したか?」
 何時の間にか霧風が後ろにいた。壁に背中をもたれかけさせて腕を組んでそこにいた。
「いたのか」
「今ここに来た」
 こう劉鵬に告げる。
「小次郎の騒ぎを聞いてな」
「そうだったか」
「それで。どうだ劉鵬」
 あらためて劉鵬に問うてきた。
「昔の俺に似ていると思うのか」
「まあな」
 劉鵬もそれは否定しない。
「もっとも小次郎はそれ以上だが」
「そうか」
「少なくとも御前は馬鹿じゃなかった」
 つまり小次郎は馬鹿だということだ。風魔の中では常識の話だ。
「あいつは。天下一の馬鹿だ」
「天下一か」
「困った奴だ、本当に」
 また何だかんだで微笑んだ顔で述べる。見れば庭では項羽が小次郎を庭の木に縛り付けていた。そのうえで笑いながら小次郎を見ている。
「全く。まだ戦おうとす
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