暁 〜小説投稿サイト〜
Muv-Luv Alternative 帝国近衛師団
第七話
[1/5]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 

 

 正仁とレグルスが帝国斯衛軍衛士養成学校に入学してから一年が経ち一九八八年。

 一年生では座学と基礎体力向上のために費やされていたが、二年生からは本格的な軍事訓練が行われるようになる。
 もちろん戦術機に乗るのはまだまだ先の事で、小銃での射撃訓練、ナイフによる近接戦訓練、背嚢を担いでの長距離行軍などである。




 そしてその訓練の一環として正仁たちは今まさに剣道をさせられていた。






「クソっ!」

 上段から振り下ろした竹刀は、あっさりと躱された。それでも追い打ちをかけるが躱されるか、弾かれるかのどちらかで決して相手に届くことはなく、全てむなしく空を切るだけだった。

 そして苛立ちと疲労から、元から大振りだった剣筋がさらに大きくなり構えが乱れた。
 それを直すのを待ってくれるほど相手は甘くなく、頭上から大きな衝撃が落ちてきた。

「それまで!」

 教官の合図をもって試合は終了し、二人は壁際へと移動し、入れ替わるように新たな試合が始まった。




 壁に背を付け楽な姿勢となり面を外した。

「フゥー!フゥー!フゥー!」

 先に面を外したのは正仁で、先ほど派手に一本を取られた。そして少し遅れて面を外した人物を血走る目で睨み付ける。

「どうした?そんなに興奮して?」

 ニヤニヤとしながら正仁の目を見たのは、斑鳩であった。

「知っていてそれを聞くのか貴様!」
「いやいや、私は正仁がなぜそんなに興奮しているのかが分からないだけだが?」

 正仁が興奮、もとい怒りに満ち溢れている理由を知っているのにもかかわらず、とぼけたように言う。

「お前に勝てないからだ!」

 そう正仁は怒鳴った。
 勝てていない。
 入学してから剣道で一度も斑鳩に勝てていないのである。確かに負けなかった事はある。しかしそれは引き分けであり勝利したのではない。
 正仁は入学してから初めて剣道を行った。それに対して斑鳩は幼き頃から剣道を習っているため、その実力差は歴然としている。
 そのことについて文句を言っているのではない。
 武家・・に負けていることが我慢ならないのだ。しかもその中心である五摂家に負けるのが悔しくて仕方がない。
 正仁にとっての武家は、百害あって一利なしと言う言葉通りの存在であり、いずれ叩き潰さねばならない敵である。
 その敵に何度も敗北し一度も勝利出来ていないことが何よりも屈辱だった。

「まあ、落ち着け。剣道で私に負けても、射撃訓練の成績はお前の方が上だろ」
「上は上でも僅差だろ!」
「しかし上には変わりない」

 そう斑鳩に言われると苦虫を潰したような顔になったが反論はせず、そっぽを向いた。
 しかしその向
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ