暁 〜小説投稿サイト〜
風魔の小次郎 風魔血風録
3部分:第一話 小次郎出陣その三
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

第一話 小次郎出陣その三

「そうですか。また」
「はい」
 黒髪を奇麗にストレートに伸ばした小柄な少女が豪勢な木の机のところで立ちながらスーツの初老の男の言葉を聞いていた。服は白い上と黒いスカートのセーラー服だ。その服装からも清楚な印象を受ける。楚々とした感じがさらに強くなっていた。
「何とか命に別状はありませんが」
「それはいいことです」
「しかし」
 言葉はこれで終わりではなかった。その苦渋もまた。
「もう選手生命は」
「わかりました。これで六人目ですね」
「そうなります」
 男は少女の言葉に頷いた。
「誠士館の引き抜きを断って事故にあった選手は」
「このままでは我が白凰学園は」
「総長、その件ですが」
 ここで話が変わった。
「理事会から新入生のクラスの削減案が出ております」
「それはわかっています」
 少女はその言葉に沈痛な顔で頷いた。頷くと共に後ろの壁にかけてある巨大な肖像画を見上げた。厳しい威厳のある白く長い髭を生やした和服の老人であった。
「我がお爺様が愛されたこの学園を。守っていきたいのですが」
「その件で柳生蘭子さんが動いているそうで」
「はい、そうです」
 男の言葉に頷く。
「今日戻られるとのことです」
「左様ですか」
「蘭子さんが連れて来られる風魔の方」
 少女は己の祖父の肖像画を見上げたまま呟く。まるでその彼に祈るかのように。
「その方が。救って頂ければよいのですが」
「全くです」
 男もその言葉に頷く。だがその時だった。
「総長!」
「何ですか!?」
 部屋に飛び込んで来たのはスーツの若い女だった。この学園の女教師か事務員のようだ。
「校門で。女子生徒達が他校の学生達に絡まれています」
「他校!?」
「はい、それで」
「わかりました」
 少女はすぐにその女の言葉に頷いた。場が一変し暗鬱としたものから緊迫したものになる。少女の顔もまたそれと同じであった。
「すぐに行きます」
「は、はい」
 こうして少女は部屋を出てそのまま校門に向かった。学園の中はかなり広くスポーツ関係の設備が整っているのが見える。その中を駆けながら校門のところまで来たのであった。
 そこには三人の超長ランのガラの悪い学生達と数人の少女達がいた。少女達は白凰の制服を着ているが超長ランの方は完全に他校の生徒だ。言うまでもなく少女達が絡まれているのである。
「いいじゃねえかよ、お茶位」
「付き合えよ」
「誰があんた達なんかとっ」
「そうよ」
 少女達は露骨に嫌悪感をその顔にも態度にも見せて彼等の誘いの手を振り払う。随分と木の強い娘達であるようだ。
 しかしその気の強さも無意味なものだった。三人組はそんな彼女達を見ても余裕の態度を崩さず逆に彼女達を取り囲んでしまった。そうし
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ