堕ちた神
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女性は白い煙で姿を隠す。そして次に出てきた時には、現在の俺の姿へと変化していた。
「エーメに見せてあげよっか。ほら、立って、シリルちゃん」
「ぐっ」
なんで俺の名前を知っているのかわからないけど、体が言うことを聞かずに命令に従ってしまう。そのまま彼女が歩くのにシンクロするように、足が動き出す。
「エーメたちもバトル終わってるといいなぁ」
「まだ合流してないからな、戦ってる可能性はあるね」
二人で並びながら和気あいあいと談笑しているその様子に、思わず吹き出しそうになってしまう。
「お前ら、何も知らないんだな」
「「は?」」
ルナが足を止めたことで同調している俺の足も止まる。そして振り返った二人に向かって、彼女たちの仲間が戦っている相手について教えてあげることにした。
「レオンは俺たちとは別格だよ。お前たちレベルが何人いても、負けることなんかありえない」
前のクエストでのケガが多少残っているけど、それもハンデにはちょうどいいくらいだろう。むしろそれがあっても、彼ならきっと勝ちを納めてくれるはずだ。
「ずいぶん信用してるのね」
「他力本願にもほどがあるけど」
「うぐっ」
それを言われると立つ瀬がない。この間もレオンに助けられたばかりなのに、また今回も彼に助けを求めなくてはならなくなるとは・・・本当に情けない。
「まぁ、強かろうが私たちには関係ないけどね」
「だって人質がいるんだから」
体の自由を奪っている俺を盾にでもするつもりなのかな?俺からするとレオンなら関係なく攻撃してきそうな気がするけど。
「エミ!!ルナ!!」
そうやって会話をしていたら、彼女たちの後ろから聞いたことのある声が聞こえてくる。そちらを見ると、そこにはやはり以前あった女剣士が・・・ん?
「え?」
こちらにやって来る女剣士の姿を見て、目が大きく見開く。なぜなら、彼女が引きずってきているものが信じられないようなものだったからだ。
「レオン!?」
血液の道を作りながら地面を引きずられている氷の神。さっき別れた時とは別人のようになったその姿に、驚かずにはいられない。
「あら?その子ってもしかして・・・」
「えぇ、私たちが倒したわ」
彼女の後ろからゆっくりと付いてくる三人の男たち。彼らもケガをしているようではあるが、レオンのそれと比べれば遥かに軽いものである。
「レオンが・・・堕ちた・・・?」
そしてそれは少年の完全敗北を意味しており、唯一の希望が閉ざされた俺は、ただ呆然としていることしかできなかった。
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