堕ちた神
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が本気だな」
よほど以前彼に辱しめを受けたことを恨んでいるらしく、何としてでも彼を倒したいと肩に力の入っているエーメ。それにユウキがビビっていたが、敵の姿を見てその表情が変化する。
「ゴホッゴホッ・・・ゲホッ」
一度落ち着いたかと思われた咳が再度・・・それも、なかなか止まらなくなってきたレオン。口を押さえるその手からは、ボタボタと赤いものが滴り落ちてくる。
「ん?」
その姿に違和感を持った四人はしばし様子を観察してみることにした。だが、いつまで立っても彼の咳が納まる気配がない。
「これは・・・」
「ずいぶんと深くまで突き刺さったようだな」
よく見ると、止血していたはずの脇腹からも血がちょっとずつ滲み出てきている。それは彼の肉体に与えられたダメージが相当な大きさであることを窺わせるのに十分なものだった。
「そういや、全身包帯だらけだったっけ、こいつ」
「傷も癒えてないのにここに攻めてきたのが運の尽きだったか」
「ぐっ・・・」
一時は人数差を苦としないレオンに押し込まれていた四人だったが、形勢がたちまち入れ替わったことに喜ばずにはいられない。
一方のレオンは、口から流れてくる血を噛み締めながら、痛みに耐えているのが精一杯のように見えた。
「雹」
「無効化」
痛みを堪えて天井を覆うほどに巨大な雲を作り出す。これでこの危機的状況を打破しようと考えたレオンだったが、ユウキにそれを消されてしまう。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
魔法を消されたレオンはガクッと地面に膝をつく。彼の呼吸は次第に荒くなっており、顔を上げているのも苦しくなっていた。
「もうさっきほどの力はないな」
「体力が限界なんだろう」
最初は魔法の完全な無力化もできないほどの力を持っていた少年の変わり果てた姿に残念そうな声を出すユウキ。その隣にいるエーメはそれを見て嬉しさを溢れ出させていたが。
「くくっ。まずは完全に意識を奪ってやる」
剣先を少年へと向け一気に降り下ろすエーメ。それはレオンの背中に突き刺さり、胴体を貫く。
「が・・・はっ・・・」
それによりさらに吐血する少年を見て、エーメの笑みにさらに拍車がかかる。
やがてレオンの瞳が閉じていき、完全に動かなくなってしまう。
「死んだのか?」
「まさか。まだ殺さないよ」
ゆっくりと剣を引き抜くと、支えを失った少年は地面へとグッタリと崩れ落ちる。それから彼女は、血溜まりに浮かぶ少年の腕を掴み引きずり始める。
「どこに行くつもりだ?」
「エミのところに連れていく」
ズルズルと血痕を残しながらレオンをある人物の元へ連れていこうとするエーメ。その後ろ姿を見た三人はタメ息をついた。
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