第一話 悪の色
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なんで、ちょっと笑顔なんだ?
「今の俺にはないと思う」
「また、思う……。まぁ、無いなら仕方ないけどさ」
「そういうグライアはあるの?
やりたい事、将来なりたいもの?」
「あるわよ。私はね、料理人になりたいんだ」
「へぇ、なんで?」
「理由は色々あるけど。一言で言うなら感動したから、かな」
「感動?」
「うん。アカツキって地球のニホンって国のお料理を食べたことある?」
「んぅ……ないと思う」
「私ね。小さい頃、一回だけ地球に行ったことがあるんだ」
「へぇ、地球に」
地球……小さい頃、クーデリアに連れられて行ったことがある。その時は確か、アメリカって国に数日間、滞在してたんだっけ。
あんまり覚えてないけど無駄に建物が大きかったのを覚えている。
あ、食べ物も美味かったな。特にハンバーガーとポテト、それとコーラって飲み物はとても印象に残っている。
家でも似たような食べ物を母さんが作ってくれるけど……なんか違うんだよな。
似てるけど別の食べ物って感じだ。
美味しいけどあの美味しいさと比べたら別物だ。
「アカツキはサカナって食べたことある?」
「……サカナ?
なに、それ?」
「地球の食べ物だよ。
ウミっていう大きな水溜まりに住んでるんだって」
「大きな……水溜まり?」
頭の中で想像するけど、大きな水溜まりに住んでいる生き物?
想像できないし、想像もつかない。
少しだけの、その地球のニホンって国のサカナって生き物に興味が湧いてきた。
「それで、そのサカナなんだけど。焼いても美味しいし、生でも美味しいの!生で食べる時はサシミって言うらしんだけどそれが凄く美味しくて!」
焼いても美味しい。
生でも美味しい。
聞くだけで腹が減ってきた。
「ショウユっていう調味料を少し付けて食べると……もう、絶品でほっぺたが落っこちるかと思っちゃた!」
「……美味しそう」
「それでねそれでね!」
楽しそうにニホンという国の事を語るグライア。
それから俺達は授業の時間を終えるまでずっとニホンの事について話し合った。
四季と呼ばれる四つの季節達。
暑かったり、寒かったり。心地いい太陽の光に照らされながら地べたで眠る心地良さ。互いの持つ知る限りのニホンという国の情報を話し合うのは楽しかった。
「お前達、反省したか?」
「はい、しました」
「しました」
「……相変わらずの態度だなアカツキ」
「はぁ、すいません」
誠意の欠片も伝わらない謝罪。
先生は重い溜め息を付き。
「今度からは気を付けるように……それとアカツキ。お前宛てに手紙が届いているぞ」
そう言って机の引き出しから四角形の紙を取り出し、俺に差し出してきた。
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