第一話 悪の色
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のになんで反省しないの?」
先生に聴こえない程度の小声で少女は言ってきた。
えっと……名前、何だったかなぁ。
俺が先生に怒られる度に話し掛けてくる変な奴だ。確か────。
「グラグラ?」
「? なにそれ?」
「いや。アンタの名前だった、と思う?」
「私の名前はグライアよ!!」
と大声で言ってきた。
うるさいなぁ……耳元で叫ぶなよ。
耳がじんじんするだろ。
「うるさい……そんな大声で言わなくても聞こえてるよ」
「アンタが私の名前を間違えて覚えてるからでしょ!
この前だって私の名前を間違えるし!ホント最低!」
「知らないよ。アンタの事なんて興味無いし、覚える必要もない」
「アンタねぇ!」
勢いよく立ち上がる少女。
ていうか、なんで泣いてるの?
目元から零れる数滴の雫。もしかして俺が悪いのか?
解らない。解らないけど多分、俺が悪いのだろうと理解する。それに母さんも言ってたな。
────女の子を泣かせたら承知しないからね!
これは謝るべきなのかな。俺が悪いかは解らないけど俺が原因で泣いてしまったのなら謝るべきだ。
「その、ごめん」
一応、頭を下げておく。
すると少女は。
「謝るくらいなら名前を覚えてよ!今度、私の名前を忘れたら許さいんだから!」
人差し指を俺に向けて少女は言ってきた。
「解った。覚えるよ。
えっと、グライア……なんだっけ?」
「グライア ネーミス!」
「うん。解った、グライア」
グライア ネーミス。
俺の席の後ろで俺が怒られる度に俺を怒る女。よし、覚えた。
「おーい。お前ら?」
ん?っと教卓に目を向ける俺達。
そこには今にも血管がブチ切れそうな先生が立っていた。
「授業の邪魔だ!廊下で立ってろッ!」
「あぁ、人生で初めて廊下に立たされたわ……」
「ごめん。なんか、俺のせいで」
「ホントよ。今度からはちゃんと真面目に授業、受けてよ」
「それは解らないけど。出来る限りアンタに迷惑を掛けないようにするよ」
「アンタじゃない。私の名前は?」
「グライア……ネーミス」
「よろしい!」
ふんっとそっぽ向く、グラグ……グライア。
なんで怒ってるのか、なんでさっき一瞬だけ笑ったのか、俺には解らない。
やっぱり、俺が変なのかな。
最初は周りの奴らがおかしいと思ってたけど、時間を歳を重ね、周囲の奴らと俺は何処か決定的に違うってことに気付き始めた。
例えば、こんな事があった。
アレは数年前の事だ。
母さんとの買い物帰り。
道端で、死んだ仔犬を抱きかかえて泣いている女の子を見つけた。
その女の子はひたすらに泣いていた。
母さんはその女の子に駆け寄り
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