第一話 悪の色
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か、この高さで当てられるとはな。褒めてやるよ」
「だから、これはご褒美だ」
ガンダム バエルが動いた。
バエルはグレイズ目掛けて急降下する。
その速度は凄まじく、重力に引かれ降下するグレイズを追い越し、グレイズの着地地点で静止した。
あの高さ、あの速度で、急降下するなんて自殺行為だ。だが、あのモビルスーツは、あの男はそれをやってのけた。
そして、腰にマウントされている剣を抜き放ち────。
「俺達、『鉄華団』の第二幕開演だ。
華麗に散ってくれよ?」
グレイズは真っ二つに切断された。
「嘘、だろ……」
エイハブリアクターの影響下にあるナノラミネートアーマーを切断するなんて……。
絶対的防御力を誇る装甲をガンダム バエルは断ち切った。どうすれば、どうやれば、モビルスーツの装甲を────モビルスーツを真っ二つにできるんだよ!?
有り得ない光景を目の当たりにし若い兵士は更に困惑する。
現実を直視できない。
これまでにモビルスーツ同士の戦闘を何度か見たことはある。演習場でモビルスーツに乗り、操縦したことだってある。だからこそ、目の前の光景を否定したい。
あの動きは人間じゃない。
さっきの急降下だって一歩、間違えれば地面に激突していた。それを地面すれすれで静止し、何の躊躇も躊躇いもなくグレイズを真っ二つにするなんて……人間業じゃない。
「化物……ッ!」
王者の風格を漂わせた化物。
ガンダム バエルは堕ちた。
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