第一話 悪の色
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いかにガンダムフレームでも対モビルアーマー用の鎖で固定されていては動くことすらままならないだろう。
────ッ。
一瞬、バエルを固定する鎖が揺れた。
────ピッ。
一瞬、バエルを固定する鎖が波打った。
────ピキッ。
バエルを拘束する鎖の一本が弾け飛んだ。
「いいぞ……もっとだ」
片目から血を流す男。
阿頼耶識のフィードバックの影響だ。
阿頼耶識を通じてモビルスーツの外部状況を脳で処理しているのだ。当然と言えば当然の結果だろう。むしろ、男はこの程度でコイツを動かせるなら問題ない、とさえ思っている。
「暴れろ」
その一言を終えた直後。
ガンダムバエルを固定していた鎖は全て断ち切られた。
バエルの両手には二本の剣が握られている。どうやら、頭が判断するより直感でバエルを操作し鎖を断ち切ったようだ。
「これが……ガンダムフレーム」
その力は圧倒的。
人の力ではなし得ない禁忌の力。
己の躰を動かすより軽く、素早く肉体『モビルスーツ』に一瞬、戸惑いを感じるが。男は一度、深呼吸し……右眼を閉じた。
どうやら目を閉じていても、モビルスーツのメインモニターは脳内で投影されるようだ。目を閉じているのにモビルスーツの見ている景色が脳裏に映る。
変な気分だ。
片目は閉じているのに見えている。
「さて、ぶっ壊すか」
ガンダムバエルは二本の剣を構え────。
十五年の封印を断ち切った。
「────き」
「────つき」
「────かつき」
「────あかつき」
「────アカツキ」
「────暁!」
その呼び掛けに向くりと起き上がる。
左右を見渡すと俺を見てくすくすと笑っている奴らと「何度も起こしたのに……」と後ろの席で呟いている少女。そして、俺の前で立ち尽くしているオッサン。
「あ、先生。おはようございます」
「おはようございます、じゃない!
お前は何度、注意すれば真面目に授業を受けるんだ!」
「はぁ、すいません」
一応、先生に謝っておく。
だが、その謝り方が気に食わなかったのか。
「お前はそう言って何度も何度も!真面目に授業を受ける気があんのか!」
「いえ、全然」
「lalalalalalala!!
────ッ。もういい、座れ……」
「はーい」
はぁ、と溜め息を付きながら先生は教卓に戻っていく。先生も懲りないなぁ。何度も何度も俺を叱って飽きないのかな。
なんて考えながら俺は席に着く。
すると後ろからトントンっと指でつつかれた。
チラッと後ろに振り返る。
「なに?」
「なに、じゃないわよ。毎回毎回、怒られてる
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