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フロンティアを駆け抜けて
揺れ動く支配者
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アマノにジェムは怒ったが、ダイバは怒りではなく本気で意外そうな声を漏らした。

「……パパ、今の話は本当なの?」
「おいおい、そこを疑うか? まさか俺様が自分の妻を人質に取られて平然としてる男だって言いたいのか?」
「いや、だって――」
「大体、仮に嘘ならなんでこの野郎が支配者気取ってんだ? 理由もなしに俺様がこんな奴の言うこと聞いて何になる?」
「……それは」

 ダイバは言い返せない。エメラルドのプライドの高さと自分の利益を求める性質はよく知っているからだ。自分が誰かに命令されることを良しとする人ではもちろんないし、バーチャルシステムを停止され、アマノに支配される状態が長続きすればフロンティアの最先端のポケモンバトル施設としてのイメージを大きく損なう。このフロンティアを設立するのにかかった金額は莫大というほかなく、オープンしたばかりで乗っ取られたことが知れれば確実に頓挫、引いては凄まじい損失になる。でも、ところどころに違和感を感じざるを得なかった。

「アマノさん! あなたはどうしてこんなことをするの! バトルタワーを乗っ取ってこのフロンティアを破壊する……そんなことして、誰が喜ぶっていうの!!」
「誰が喜ぶかだと? くだらん! そもそもこの場所はポケモンの力を研究し、より引き出すための軍事施設だった。だがある時を境に徐々にパトロンが減り研究の金がなくなったところにエメラルドに融資の話を持ちかけられ……金を貸すと同時に、今まで他のところにした借金をうちで一つにまとめてやるとな。私はここの職員だった。交渉を成立させて一年も経たないうちに、あのチャンピオンがここをバトルのための娯楽施設にしたいと言い出した!」
「このバトルフロンティアは……お父様が?」
「当然全員で反対した……誰かの笑顔などと言う曖昧なもののために我らの研究を止められる謂れなどないと……それを、この男は!!」

 アマノはエメラルドを睨んだ。エメラルドは肩をすくめた後、笑いながら言う。その様は全く悪びれておらず、またこの状況に対する危機感はやはり感じられない。ドラコと同じく、催眠術にかけられたとしても自我を失うわけではないのだろう。

「ああ、チャンピオンとはガキの頃から付き合いがあるからな。……だったら貸した金今すぐ利子つけて返せっつったんだよ。五億ほどな。それが出来なきゃ無理やり潰すってな」
「もともと金に困っていた私達にはどうすることも出来なかった……我々の研究成果はあっさりと吸収され、ヴァーチャルシステムというお遊びの道具に成り代わった……だから私はこの屈辱を晴らすと誓ったのだ! 貴様ら全員を私の手駒にすれば、チャンピオンだろうと恐れるに足らん! 私がこのフロンティアを支配し、破壊して元の研究施設へと書き換える! エメラル
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