揺れ動く支配者
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かし警戒を嘲笑うかのように。誇り高く、高慢で、不敵な男の声が部屋中に響いた。
「――――ようやく来やがったか。ったくよぉ……待ちくたびれたぜ」
「この声……!」
「パパ……どこにいるの」
ジェムも一度聞いたことのある、ダイバの父親の声。ジェムの父親とは逆の感情がむき出しになった声は、バトルタワーに異常が起こったことを全く問題にしていない。
「上だよ、せっかく自分のガキが挑戦しに来たってんだ。本気で受け止めてやるのが親心ってもんだろ。部屋の中央に乗ってみな。すぐに案内してやるぜ」
「ここが最上階じゃなかったのね……ダイバ君、行く?」
「待って。アマノは? 催眠術師と毒女がここに来たんじゃなかったの?」
ラティアスから飛び降り、すぐにメタグロスを出してダイバは問う。あっさりついていきそうになったジェムはやっぱり自分はまだまだだなあと自戒した。
「なんだよ。俺様があんな小物にやられるとか本気で思ってるのか? とっくにブッ飛ばして縛り上げてやったよ」
「……パパが今操られてないって証拠は?」
「疑り深い奴だな。まあそれでこそだが……仮に俺様が今操られてるとしたら、そもそもお前らはここに来れねえよ。今入った部屋の扉だって、俺様の意思一つでロックがかけられる。なんでわざわざ邪魔者を招き入れなきゃいけねえんだ?」
「それは……」
ジェムには理由が思い浮かばない。確かに乗っ取られているなら直接戦わなくてもジェムたちに邪魔をさせない方法はいくらでもありそうなものだ。しかしダイバは帽子を目深に被って考え始めた。少しでもダイバの考える時間を作る意味でもジェムも思いついたことを聞いてみることにする。しかしまず初対面である以上自己紹介だ。
「始めまして、私ジェム・クオールって言います! ダイバ君のお父様ですよね?」
「この局面で自己紹介とは律儀な奴だな。そう、俺様こそこの天空を切り裂くバトルタワーのブレーン、ホウエンの怪物と呼ばれるエメラルド様だ!」
ダイバの父親、エメラルドの過剰とすら思えるほど自信に満ち溢れた言葉。ホウエンチャンピオンという立場にありながら丁寧で静かな立ち振る舞いをするジェムの父親とは全く違う。
「それで、質問があるんですけど……そこにネフィリムさんはいるんですか? 私達が挑戦するならあなたとネフィリムさんが相手になってくれる……のですよね?」
ジェムは今まであまり敬語を使ったことがない。それは今までの人生で敬語を使う相手がいなかったからかもしれないし、チャンピオンの娘だから無意識的に自分が偉いと思っていたのかもしれない。既に面識のあるゴコウさんには普通に喋ってしまっていたけど、これからは知らない大人相手にはちゃんと丁寧に喋ろうと意識する。そし
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