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フロンティアを駆け抜けて
揺れ動く支配者
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やあの女みたいなのは仲よくしようとせず無理にでも避けるんだけど」
「そうなの? まあいろいろ痛い目にはあったけど……うーん、今まであんまり同じくらいの年の子と会ったことがないからわからないわ」
「ふーん……ご愁傷様」

 ジェムはバトルフロンティアに来るまではずっとおくりび山にいた。おくりび山は基本的に墓場だ。子供が来る場所ではないので、ジェムには今まで友達と言える相手はジャックとポケモン達しかいなかったのだった。それを言うとダイバはなんだか小ばかにしたように言う。

「むむ。ならダイバ君はもっと私に優しくしてくれてもいいのよ?」
「……僕より弱い奴になんで優しくしなきゃいけないのさ」
「もう……意地悪なんだから」

 彼は全然変わらない言葉で呟くけれど。その声は以前よりもずっと柔らかくなった気がする。だからジェムも、素直に口を尖らせることが出来た。

「そんなことより、もう少しで最上階……この先に、パパとあの男がいるはず」
「どんな状況になってたとしても絶対にアマノさんを止めて、バトルフロンティアをもとに戻そうね!」
「うん、そのためにも……もう一度、作戦について話しておきたい」

 ジェムは頷いた。最初の予定ではダイバの両親と戦う予定だったしその二人に勝つための作戦を話してきたが、現在の状況は違う。上を昇っている間ずっと考えていたであろう作戦を、ダイバはジェムに伝えた。

「アマノの手持ちが明確じゃない以上、想定外の事態も多いと思う。だからその時は……」

 ダイバはそこでジェムの方に振り向いた。ダイバの深緑の眼が、ジェムのオッドアイと見つめ合う。何かを確認しているような彼に、口は挟まず真剣に見返した。

「……お互いの判断で、連携していこう。足は引っ張らないでね?」
「うん、わかったわ!!」

 その言葉が、拙いけれども信頼の証。最上階が今どうなっているのかは不明だ。今ならきっと大丈夫だとジェムは信じる。ドラコとアルカ、二人の強敵を退けその過程でジェムとダイバは一方的に命令するだけではない。お互いの目的のために支え合う関係になれたからだ。ドラコが侵入するために撃ち破ったであろう壁のある階を越え最上階、ダイバの父親がいるはずの部屋へと踏み込む。まるでSF映画の中に入ったような、部屋中に色んなグラフや数字が刻一刻と変化するディスプレイに、何がどんな機能なのかわからないほどのたくさんの装置。機械によって蒼と黒で埋め尽くされた部屋は、プラネタリウムさえイメージさせた。

「……宇宙船みたいな部屋」
「ほとんどはフェイクだけどね。パパは――」

 部屋の中はもぬけの殻だった。しかしダイバは気を緩めずに周りを見渡す。アマノやその手先がどこに隠れているかもわからない。し
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