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風魔の小次郎 風魔血風録
27部分:第三話 忍の掟その五
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は」
「証拠がない」
 一言だった。
「相変わらずな」
「そうか。やはりな」
「今回の試合もおそらくは」
「わかっている。いるぞ」
「いる!?何処にだ」
「少し。行って来る」
 竜魔はこう言うと踵を返した。そうして試合の場を去る。
「また後でな」
「わかった」
 竜魔が姿を消した。姫子はそれに気付くことなくボーリングのボールを投げた。ボールは奇麗に入りストライクを取るかと思われた。しかしその手前で急にカーブしてガーターとなったのだった。
「えっ!?」
「あれっ、おかしいな」
「そうよね」
 姫子だけでなく観客席からも選手達からも声があがる。あまりにも不自然なカーブだったからだ。
「どうしてかしら」
「やはりな」
 姫子はわからなかったが蘭子にはすぐに察しがついた。
「そういうことか」
「ならもう一度」
 また姫子は投げた。今度も奇麗なストライクだ。しかし今度は何と通り抜けた。流石に今回ばかりは皆目を疑った。
「何なんだ、今のは」
「一体」
「通り抜けたなんて」
「何だよ、やられっぱなしじゃねえか」
 ここで小次郎が出て来た。それで姫子のところに来て言うのだった。
「夜叉の奴等によ。じゃあここは俺が出て来てスコーーーンとストライクをだな」
「馬鹿、何度殴らせるつもりだ」
 また蘭子が出て来て小次郎の頭の後ろをはたく。
「毎回毎回。寝ていろって言われただろうが」
「何だよ、また殴りやがって」
「私が殴るのは御前だけだぞ」
 実はそうなのだった。
「弟にすら手をあげないというのに」
「御前弟もいたのかよ」
 どうやら蘭子は男兄弟の中にいるらしい。
「そうだ。全く」
「とにかくよ。夜叉がいるぜ」
 小次郎はそれはわかっていた。
「ちょっと行って来るな」
「行って来るなってそれも」
「兄ちゃんにいい格好させてたまるかよ」
 蘭子の話を聞かずにもう動いていた。
「姫様の前ではよ。この小次郎様が」
「全く。何処まで馬鹿なんだ」
 蘭子の呆れる言葉も聞かない。しかし小次郎はそれでも行くのだった。

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