第四話 村で聞くことその十二
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「食いものは充分あるしな」
「一週間分買ったしな」
「あれだけあればな」
「そうだな、パンシャの食う草もあるしな」
草が道の左右にある、パンシャはそれを食べているのだ。
「結構食うけれどな」
「馬の種類は食う」
「ロバもそうだってことか」
「俗に鯨飲馬食というしな」
「馬はそれだけ食うってことだな」
「ロバも然りだ、ましてやパンシャはいつも荷物を持っている」
それだけ体力を使う、だからだというのだ。
「食うのも当然だ」
「そういうことか」
「食えば食うだけいい、むしろ食わないとだ」
「その方が問題か」
「食わないと死ぬ」
この世の絶対の摂理だ、それ以前に動けなくなる。二人にしても昨夜はそれで苦しんだ。特に久志は。
「生きているならな」
「だからパンシャが食ってると安心出来るか」
「食えば食うだけな」
「そういうことか、あと御前毒消し草とかも買ったな」
「麻痺を癒す薬草もな」
「体力を回復させる薬とな」
「いざという時に備えてだ」
そこまで考えてとだ、英雄は自分の傍にあるそういった薬草等を見て話した。
「買っておいた」
「用意がいいな」
「そこに金も使った」
「すっからかんになるのも当然か、しかしな」
「話した通りだ」
「金で助かるならいいな」
「そして一人より二人だ」
英雄はこのことも話した。
「俺も御前も死ぬべきではない」
「一人旅なんてこんな世界でやったら自殺行為だな」
「これまでは二人でやっていけたな」
「そうだよな、実際」
「それならだ」
「二人でいくべきか」
「少なくとも神殿まではな」
目的地であるそこまでは、というのだ。
「そうあるべきだ」
「それが現実か」
「はっきりと言うが俺は御前は好きではない」
英雄は久志の目を見据えてだ、彼自身にはっきりと告げた。
「合わない」
「ああ、俺もだよ」
「そうか、やはりな」
「御前みたいな奴は好きじゃない」
久志もあっさりと英雄自身に言う。
「相性が悪い」
「お互いにそうだな」
「性根が腐っても底意地が悪い訳でもないのはわかるがな」
「御前もだな」
「ああ、けれど相性が悪いな」
「どうにもな」
やはりお互いに言う。
「しかしそれでもだな」
「旅は一緒にやろうな」
「お互いに生きる為にな」
「御前は好きじゃないが俺も生きたいしだ」
それにだった。
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