第四話 村で聞くことその十
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「生きられないか」
「よく戦えないとな」
「結果としてそうなるか」
「どうしてもな」
「だからテントは必要か」
「旅をするならだ」
「有り金これでもかってはたいてよかったよ」
久志はしみじみとして言った、テントの中を照らしているランタンも買ったものだ。
「お陰ですっからかんになったけれどな」
「その時はな」
「ああ、けれどだな」
「金と命どちらが大事だ」
「命だな」
「金は命さえあれば稼ぐことが出来る」
「けれど死んだら終わりだな」
その場でだとだ、久志はシビアな口調で言った。
「もうそれまでか」
「そうなる、そして現にだ」
「金はまた稼げたな」
「首尾よくな」
「首尾よくかね、正直な」
「オークやゴブリンとの戦闘はか」
「こうした世界じゃお約束にしてもな」
それでもという口調でだ、久志は固いパンを茶で胃の中に押し込みつつ言った。どうしてもという口調になったうえで。
「正直な」
「命懸けだからか」
「ああ、金が手に入ってもリスクがある」
「そのリスクが気になるか」
「どうしてもな、ただ弱かったな」
今日戦った敵はとだ、久志はこの日の戦闘を振り返って述べた。
「どの種族も」
「そうだな」
「昨日のならず者達と一緒でな」
「どうやら連中はただ武器を持っているだけでだ」
「何の訓練も受けてないか」
「連携も出来ていなかった」
徒党を組んでいてもというのだ。
「何もな」
「バラバラに動いているだけだったな」
「そうだったな」
「ただ数を頼んで」
「そうした連中だったからだ」
「あんなに弱かったってことか」
「おそらくな」
「そうか、まあ種族的にも弱い連中ばかりだったか」
オークやコボルト、ゴブリンといった連中はとだ、久志は彼の知識の範疇から述べた。本やゲーム等のそれである。
「どうにもな」
「あの程度の連中なぞ何なく倒せないとな」
「魔神を倒すなんてな」
「夢物語だ」
それこそとだ、英雄は干し肉を食いつつ久志に話した。
「所詮な」
「そういうことか」
「刀剣を抜く以前だ」
「まずはあの程度の連中蹴散らせか」
「そういうことだろうな」
「そうか、じゃあ今後ああした連中が出てもか」
久志はパンを食べ続けながら応えた。
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