第四話 村で聞くことその九
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「それでだけれどな」
「追うかどうかか」
「ああ、どうする?」
「奴等は敵地に逃げた」
「だからか」
「ここは追わない方がいい」
英雄は久志に静かに言った。
「奴等が逃げたのはおそらく縄張りだ」
「変に敵の縄張りに入るとか」
「援軍なり伏兵なりがいてだ」
「やられるか」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「ここは入るべきじゃない」
「そうなるか」
「そうだ、ここはだ」
「深追いはせずにか」
「先に進むべきだ」
目的地である神殿にというのだ。
「出来るだけな」
「その方がいいな」
「そうだな、ではだ」
「ああ、連中は追わずにな」
「先に行くぞ」
「援軍呼んで仕返しに来てもか」
「それでも敵の縄張りにあえて入るよりはいい」
それよりもというのだ。
「来た敵を返り討ちにする方がな」
「敵の地の利のある場所では戦うな、か」
「戦いの鉄則だな」
「ああ、それもな」
「出来るだけ敵の不利な場所で戦うことだ」
「ああした連中相手でもか」
「そうなる、では行くぞ」
英雄は自分から足を前にやった、そして久志とパンシャも彼に続いた。二人は昼まで歩いていったがその途中にだった。
今度はコボルト、ゴブリン、そして大型の烏等に遭った。そしてその彼等を来る度に倒していってだった。そのうえで。
夜になった、そこで二人はテントを作ってだった。その中に入った。
テントの中で食事を摂る、ここで久志は英雄に干し肉を食い沸かした湯に葉を入れた茶を飲みつつ同じ組み合わせを口にしている英雄に言った。
「このテント優れものだな」
「こうして泊まれるだけでなくな」
「結界にもなっててな」
「モンスター達は入って来られないからな」
「一晩ぐっすり休めるな」
「そう考えると非常にいい」
「毛布も買ってたし」
寝る時に下に敷き被るそれもだ。
「ゆっくり寝られるな」
「いいことだ」
「やっぱり寝ないとな」
人間はとだ、久志は言った。結界はテントの外にもあってパンシャはテントの傍で丸くなって気持ちよさそうに寝ている。
「人間駄目だな」
「そうだ、よく寝てよく食うことだ」
「それが戦える条件だな」
「絶対のな」
「よく寝てよく食わないとな」
久志は今度はパンを口にした、白いが固いフランスパンの様なパンだ。
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