第四話 村で聞くことその七
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「その辺りでモンスターと戦ってな」
「そして倒してだな」
「稼げばいいだけだ」
「本当にそれだけだな」
「金はどうでもいい、大事なことはだ」
「生きることか」
「まずはな。そしてその生きる道具は揃えた」
英雄は道具達だけでなくだ、それを背負うロバも見た。そのうえでこうも言った。
「こいつも含めてな」
「ロバもか」
「俺達が背負うよりロバなり馬なりが背負った方がいい」
「それはそうだな」
「こいつがいると全く違う」
「その分高かったがな」
「しかし払った以上に役立つ」
英雄はロバを見たまま久志に話した。
「俺達自身が荷物を持つよりもな」
「荷物持ってるとどうしても疲れるからな」
「だからだ、ロバも買った」
「荷物運び様にか」
「存分に働いてもらう、そしてだが」
「そして?今度は何だよ」
「このロバの名前を考えたいが」
こうも言うのだった。
「何がいいか」
「そうだな、ロバのままでも愛想がないしな」
「何がいい」
「そうだな、パンシャでどうだい?」
「パンシャ?ライオンみたいな名前だな」
「そのままだよ、ジャングル何とかって漫画があっただろ」
久志は笑いながら英雄に話した。
「その漫画の主人公の父親の名前だよ」
「確か白いライオンだったな」
「ふと思ったんだよ、俺は阪神ファンだがな」
「同じネコ科だからか」
「いいだろ」
「俺も阪神は好きだが」
英雄は久志の明るい言葉に考える顔で返した。
「ロバにライオンの名前はな」
「そうか?結構合ってるだろ」
ロバにパンシャという名前はというのだ。
「これも」
「そうは思わないが」
「俺的にはそうなんだよ」
パンシャという名前がというのだ。
「合ってるんだよ」
「貴様のセンスか」
「ああ、そう言えばそうなるな」
「それならいいがな」
英雄はこれ以上は言おうとしなかった、だが久志はその彼に問うた。
「じゃあ御前はどんな名前がいいんだ?」
「鴈治郎か」
英雄が出した名前はこれだった。
「このロバの顔を見てふと思った」
「歌舞伎役者の名前かよ」
「我當、秀太郎、仁左衛門もいいな」
「全部歌舞伎役者の名前だな」
「駄目か」
「そっちの方が合ってないだろ」
ロバの名前にはとだ、久志は言い返した。
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