6月
テスト編
第55話『予習』
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ルトハルト、カタカナも覚えたよ!」
「やっぱ展開速すぎるだろ!?」
結月の目覚しい成長に、さすがに晴登も驚愕を顕にする。いくら何でも早すぎやしないだろうか。
もしかして、結月の物覚えは超が付くほど良かったり…?
「その才能俺に分け与えてくれよ…」
「ハルト、力になれなくてゴメン・・・」
「いや、そんな話の流れじゃないよ今!?」
冗談を言ったつもりが、真に受けられるというあるある事態。しかも結構深刻そうな顔をするから、より申し訳なく感じる。
「しかし、ひらがなもカタカナも終わったとなると、次はもう漢字か。数時間で園児卒業って飛び級し過ぎだろ」
「何言ってるのかあまりわからないけど、凄いなら嬉しいな」
結月は一転して、屈託ない笑顔を見せる。嬉しさが滲み出ているその笑顔に、晴登は安心感を覚えた。
「じゃあ、あと一押しだな」
「そうだね」
小学生レベルだろうと、漢字を覚えるとグッと日本に馴染める。そうなれば、一人で自由に外を出歩けるようになるだろう。そしていつかは居候を卒業して、一人で暮らせるように・・・
「これでようやくハルトのお嫁さんになれるね」
「ぶふぉっ!? どうしてそうなるの!?」
「ボクとしては許嫁のままで良いんだよー?」
「別に許嫁って決まってないから!」
いつどのタイミングで好かれたのか、正直今でもわからない。思い返すと、助けられてばっかりの情景が浮かぶ。女子の気持ちは男子にはわからない、というものだが、これでは迷宮入りもいい所だ。
「けど、こういうのは詮索しない方が賢明だろうな」
人の心を根掘り葉掘り聞き出すのは、デリカシーに欠ける行為だ。そもそも、訊くのが恥ずかしい。
「あんまり意識させないでくれよ…」
最後にポツリと、晴登は本音を零した。
* * * * * * * * * *
〜夕食〜
「結局昼食と同じか」
両親が外出し、自分と結月と智乃の三人で夕食をとることになる。作るのはもちろん晴登だが、手伝いとして残り二人も参加するそうだ。
「簡単なやつで良いよな?」
「良いよ、お兄ちゃん!」
「ボクも構わないよ、お兄ちゃん!」
「おい、妹を二人持った覚えは無いぞ」
うだうだとツッコミながらも、結局は料理。
三人でやれば時間も短縮され、なんとものの数分でシンプルの極み、『野菜炒め』が出来上がってしまう。
「さすが、シンプルなものは速い」
「「そして美味しい!」」
「つまみ食いして良いとは誰も言ってないぞ」
「「ケチ」」
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