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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第八十六話 マリーンドルフ伯爵令嬢は遠征に反対のようです。
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馬鹿にしたように短く笑った。
「あんたはいい身分だよな。何不自由ないお嬢さん。親の財産のおかげで、親の爵位のおかげで、何の不自由もない暮らしができて。好き勝手にやってきたんだろ?」
「・・・・・・・。」
「なんだよ、その眼は?何か言いたいことでもあるのか?」
「・・・・・・・。」
「言えよ。言ってみろよ。」
ヒルダが答えなかったのは答えに窮したからではない。何を応えても相手を怒らせるだけだと知っていたからだ。相手が何も言わないので、ルグニカは舌打ちして壁にもたれかかった。
「あんたのその眼、上ばかり見てるだろ。」
腕を組んだまま、すくいあげるような横目で若き秘書官を見た。
「・・・・・・・?」
「ローエングラム元帥、そしてその周りにいる人間ばかりを。」
「それは・・・・。」
「下を這いずり回っている人間の事、あんたは一度だって見たことはあるか?」
それは今までにない声音だった。ルグニカの声に初めて憎悪以外の要素が入り込んできたのである。
「今平民たちが、荘園にいる貧しい農民たちが、いったいどんな暮らしをしてきているか、あんたは知っているのか?」
少なくとも私の領内では不自由な暮らしぶりはさせていない、とヒルダは言おうとして声を出せなかった。そのようなことを相手が望んでいるとは思えなかったからである。
「見てないだろ?知らないだろ?ないはずだ。貴族っていうのはそういうものなんだから。」
ルグニカは体を壁から離した。
「だが、ローエングラム元帥閣下やヴァンクラフト上級大将閣下は他の貴族とは違う。ランディール侯爵もエルマーシュ侯爵も。だからこそアタシはついていく。食うためだけじゃない。家族を養うためだけじゃない。あんたにこの理由がわかるか?」
そう言い捨てると、ルグニカはヒルダに背を向け歩み去った。その背中にヒルダは声をかけることはできなかった。聡明さをもって鳴る彼女の智謀ですらも、ルグニカの背後にある悲痛な思い、そして彼女の憎悪を突破することはできなかったのである。
* * * * *
「承知をしたのですね?」
念を押すような声が締め切ったカーテンで遮光した薄暗い部屋の中に聞こえた。声を投げた相手は無言で首を縦に振った。
「元帥閣下のご決断は帝国にとって幾百年の安定をもたらしましょう。」
まだ30前後の若い黒髪の美男子はそう平静に言ったが、かすかにこらえきれない笑みが口の端に浮かんだ。エーレンベルク元帥の私邸で主を前にしてそのような言葉を掛けられる人間は少ない。
帝国軍三長官の一人である軍務尚書エーレンベルク元帥の前に座っているその人物は、ハーラルト・ベルンシュタイン中将である。
ブラウンシュヴァイク公爵陣営にひそかに見切りをつけつつあったベルンシュタイン中将は対ラインハルト包囲網をまだあき
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