暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
HERO →→ ???
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
は、たったそれだけだ。

だがそれは、今まで身内にのみ向いていた力が、不特定多数のために振るわれることと同義。

それは、ヒスイが憂い、恐れていたことそのもの。

人を助けるうちに、あの少年の中にある助けるべき対象の定義が曖昧になっていったのだ。やがて、助ける対象はマイやカグラを初めとしたNPCによって、人外にも渡り、そして今回のGGOにて顔も知らない他人のために力を振るう一面が顔を出した。

小日向蓮は、ヒーローとして期待されていた。

英雄としての彼は必要とされていない。

もはや彼は使えない。

「破棄……、するの?ここまで来て!!」

「その通りだ。小日向蓮を小日向相馬に相似させる方程式は完全に瓦解した。彼を中心に据える第一次計画(ファースト)は完全廃棄。次点に有用性の高い第二次計画(セカンド)に移行する」

「ま、待って!第二次計画(セカンド)は小日向相馬の計画に便乗した形で、その方向性を歪める計画でしょう!?完全に独立した第一次計画(ファースト)と違って、それじゃあ不確定要素が多すぎる!あの男が二手三手先を繰り出して来たら簡単に揺らぐわよ!!それに……、何より!その計画じゃあ、マイが――――ッッ!!」

必死で食い下がる少女に、しかし男は不動の体勢だ。

意見は変えない。

そう言外に告げられているようなその態度に、イヴと呼ばれる白濁した少女はキッと睨みつけた。

「……絶対に、させない。計画は、このままで」

追い詰められた者特有の、ブツブツと途切れ途切れの声。

だが、それを断ち切るように燕尾服を着た男はこう言った。

「《チケット》は、余っているのかね?」

「ッ!」

男は、体重を預けていたコンソールから立ち上がり、身体を固まらせる少女にゆっくりと近寄っていく。

「君がマイの身体を操るために設定した《チケット》という名の回数制限。だが、本来ならそんなものはない。人の心を掌握する君において、そんなチープな立入禁止テープなどあるワケがない」

床がないにも関わらず、革靴が石床を叩くコツ、コツ、という音が耳朶を打つ。

それが少女には、処刑人の足音にも聞こえた。

「怖かったんだろう?なまじ君自身が好き勝手に精神を弄繰り回せられる立場だ。そういう意味での脆さには一家言あるだろう。君自身が表に出るごとに、マイは強制的に沈みこまれる。一回ならまだいい。だが、二回三回と重ねていくにつれ、主人格は希薄になっていく」

主人格とは、いわば精神というシステムに対しての管理者権限のようなものだ。

人には本来、自身の身体や精神に対し、操作権は自分にあると無意識レベルで刻み込まれている。だが、それが揺らいだらどうだろうか。

気が付けば全く知らない場所にいて、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ