暁 〜小説投稿サイト〜
Muv-Luv Alternative 帝国近衛師団
第五話
[1/6]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 一九八七年 春

 国防省 小会議室


 今日ここに五人の軍人、三人のメーカー重役、そして一人の子供がテーブルを取り囲むように座っていた。






「………これ本当に成仁が書いたのか?」
「はい、僕が考えて書きました」

 智忠の問いに笑顔で答える成仁。改めてテーブルに広げてある設計図に目を落とした。
 信じられない……
 それが成仁を除くこの場に居る全ての人間の気持ちだった。

「昔から賢いと思ってはいたが、まさかこれほどとは……」

 ため息交じりでそう言った博恭。

「私も最初見せられた時は驚きました。次の日もう一度見ても驚きましたが……」

 父親である隆仁も未だに信じられないといった様子だった。




「では諸君の意見を聞きたい。彩峰大佐、貴官から意見を聞かせてくれ」

 この場での最高階級を持っている博恭が司会として話を進め、最初に陸軍の彩峰萩閣大佐に意見を求めた。

「はっ。率直に申しますと、戦術機ではなく違う概念を持って描かれた設計図だと推測します」
「そうです!戦術機ではなくモビルスーツです!」

 萩閣が戦術機とは違うと指摘するとよほど嬉しかったのか、声を上げ目を輝かせながら萩閣を見た成仁。逆に呆気に取られた萩閣だったがすぐに話を再開した。

「その……このモビルスーツはまず歩行を前提としているように見受けられ、戦術機と比べると格段に機動力が劣るかと」
「その点については解決策が出来たので大丈夫です!」
「……………私からは以上です」

 終始、成仁に呆気に取られていた萩閣だった。

「うむ、では次に小沢大佐、君の意見を」

 次に意見を求められたのは、博恭や智忠と同じ海軍所属の小沢久彌ひさや。

「ハッ。自分も彩峰大佐と同様ですが……このモビルスーツと言うものは戦術機と比べて機動力がなくBETAには通じないと思いますが、解決策があるのであれば通用するかと思われます」

 久彌も萩閣同様な事を考えていた。
 しかし萩閣も久彌も、この図面を見て『戦術機と変わらないのであれば、わざわざ作らなくてもいいのでは?』と内心思っていたが、相手が相手なため、口にはしていなかった。

「では新大和だいわ工業、石河島播磨重工業、帝国製鋼所のお三方の意見をお聞きしたい」

 博恭の言葉で、三人の男たちは椅子から立ち上がり直立不動の姿勢になり、額に大量の汗をかいていた。それもそのはず、目の前に

「では、まず新大和(だいわ)工業の菊原静雄が御説明させていただきます!」

 新大和だいわ工業の代表は、三人の中でも最も若く三十代になったばかりの若者であった。

「この図面を見る限り、全くもって新しい概念によって設計されております!そ
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ