ターン70 鉄砲水と封印の神
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には私から伝えておこう』
突然チャクチャルさんが一言喋ると、ウラヌスが安心したように眼を閉じる。どうやら、僕にはわからない会話がこの2体の間であったらしい。そのまま唸り声一つあげることもなく、ウラヌスの姿が消えていった。同時に、僕が持っていたウラヌスのカードからも色が抜けて白紙になっていく。
短い間とはいえ、ウラヌスは僕の仲間だ。とはいえあまりにも突然のこと過ぎて、まだ実感が湧いてこない。半ば呆然と突っ立っている僕の頭に、チャクチャルさんの声が聞こえる。
『マスター、伝言だ。自分が今何をされたのか、そこにユベルの持つ力のヒントがあるはずだ。私の二の舞にならないよう、私の死を無駄にせず戦ってくれ。そして、生き延びて自分の世界に帰ることを成功させて欲しい……だそうだ』
生き延びろ。つい先日もどこかで聞いたことのある言葉だと思ったら、あれだ。覇王城近くの闘技場で、最後の瞬間に正気に戻ったケルトが僕に向かって言った言葉だ。
あー。ちょっと、これは、辛いかもしんない。
「……ねえ。僕って、そんなに早死にしそうなことばっかりやってるように見えるかな」
泣き出しそうになるのを堪えるためとはいえ、我ながら随分つまらないことを言ったと思う。見えるも何も、現に何回も何回も死にかかってるというのに。傍から見てるぶんには、危なっかしくて仕方がないのだろう。だけど今更どうしようもない、それが僕の性分だ。
涙の波のピークが過ぎ去り、どうにか気持ちを落ち着かせて歩き出す。行先はもちろん、開きっぱなしのままのユベルがくぐっていったドアだ。どんな仕組みかは見当もつかないが、その向こう側には全く別の空間が広がっている。これが、ユベルの城とやらがある場所か。
ユベルに次元を移動する力があることは、これまでの経緯から想像がつく。となると、僕が元の世界に帰るためには、この先は避けては通れない道だ。デュエルアカデミアからの腐れ縁、そろそろきっちり清算する時がきたのだろう。
意を決して、扉の中の空間に1歩を踏み出した。
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