ターン70 鉄砲水と封印の神
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もその全身から立ち上る危険な雰囲気も、とうていあのヨハンと同一人物だとは思えない。
「お前は一体誰なのさ?」
「いやだなあ、気づいているんだろう?いや、君に名乗るのは初めてだったかな?ともあれ、ボクがユベルさ。もっとも、この体は確かにヨハン・アンデルセンの物だけどね。それよりも、あのエクゾディアを倒すとはね。勝者にはボクからのご褒美だ、ボクの城に招待してあげるよ」
そう言うや否やヨハン……いや、ユベルの背後の地面が盛り上がり、石造りの巨大な扉が生えてくる。自分の背丈よりはるかに大きくて重そうなそれを片腕だけで無造作に開きながら、もう片方の手で僕を手招きする。
「さあ、ついておいで」
その言葉を最後に、先に自分が扉に入ろうと背を向ける……その瞬間、突然僕のデッキから1枚のカードが飛び出した。空中で勝手に実体化し、先ほどの召喚神並みに巨大な球体が出現する。さらに問答無用で正面部分のギミックが動き、巨大な砲台が伸びる。
「待って、ウラヌス!あの体はヨハンの……!」
The despair URANUS。砂漠の異世界では囮として使われるためだけにユベルに致命傷を負わされ、その後はカードとして僕のデッキに入り込んでいた天王星の主。その経緯を考えればユベルに対してのこの反応も無理はないけれど、奴の言葉を信じるならばあの体はヨハン本人、ならここで消し飛ばさせるわけにはいかない。何をしようとしているのかわかったところで止めようとするが、もう遅かった。チャージを終えた砲台から、白い光線がユベルの無防備な背中めがけて放たれる。
「ぐっ……!」
至近距離で見た光の眩しさに、たまらず腕で顔を覆う。ようやく光が収まって恐る恐る前を向いた時、そこには信じられない光景が広がっていた。
確かに、攻撃を仕掛けたのはウラヌスの側だったはずだ。それなのに不意打ちを食らったはずのユベル本人は傷一つなくぴんぴんしていて、逆にウラヌスの体を貫通して大穴があいている。まるで、たった今放った自分の攻撃を、そのまま自分で受けたかのように。
「ん、今何かしたかい?さあ、早く入っておいで」
にやにやと笑いながらこちらを見て、ユベルが扉の中に消えていく。あちらも気になるけど、今はウラヌスが先だ。駆け寄ったウラヌスの巨体からは既に光の粒が出てきていて、何をしたとしても先が長くないことが一目で判別できた。
「ウラヌス……!」
痛々しいその光景に絞り出すように出した声に、すでに力を失いつつある球体がかすかに反応する。傷口から岩石の欠片をまき散らしながら、転がるようにしてこちらを向いた。だがその目に助けを求めるような色はなく、黙って自分の運命を受け入れようとしている。
『承知した。マスター
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