ターン70 鉄砲水と封印の神
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、本当に何の脈絡もなく突然この世界に現れて、ようやく戻ってきたはずのあるべき世界を自分の欲望のためだけに再び消し去ってしまおうとするこの男のことは理解できない。そして、そんなもの最初から理解したいとも思わない。
「君の手向け、ねえ。生憎だが、君の実力はもう知っている。アカデミアではあれだけ何かありそうな様子を見せておいて随分と歯ごたえの無い相手だったから、逆に拍子抜けしたものさ。エクゾディアの肩慣らしとしての役目もエドがやってくれたわけだし、君の挑戦を受けるメリットがないね。それに覇王を片付けたと言っても、オブライエンあっての手柄だろう?君1人の力じゃないはずだが」
「なんでそれを……!?」
挑発の方は聞き流すこともできるが、問題はその後の言葉だ。なんでオブライエンのことを、アモンが知っているんだろう。まさか、あのデュエルをアモンもどこからか見ていたのか。だとすると、アモンの手は思ったより広い範囲に届くことになる。嫌な汗が流れるのを感じる中そんな流れを変えたのは、僕にとって、そしてそれ以上にアモンにとって予想外な声だった。
「いいじゃないか、受けてあげれば」
「なんだと!?」
「その声……!」
どこからともなく響く声。この声には、聴き覚えがある。プロフェッサー・コブラのもとに忍び込んだ時、姿を見せずに僕の頭の中に直接話しかけてきた謎の声。十代を病的に愛していて、それ以外の全てをどうでもいいと一言で切り捨てた、あの不気味な存在。デュエルエナジーを手に入れた後は砂漠の異世界でも暗躍し、ウラヌスを囮に校舎に忍び込んでゾンビ生徒軍団を生み出したりとやりたい放題やってくれたオレンジ色の人型。
今度はどこに潜んでいるのか、と左右を見回す僕に対し、アモンの反応ははっきりしていた。自分の左腕を何かを見つけようとするかのように憎々しげに見降ろし、鋭い目つきで舌打ちする。
「君、確か前にも何回か会ったよね?フフフ、アモン。この人間はしつこいから、たとえここで撒いてもどうせまた思いもよらない場所から何回でも出てくるさ。なら、ここで彼の気が済むまで相手してやればいい」
「待て、何を勝手なことを!」
「おやおや、王になる人間が1度は勝てた相手からの挑戦を拒むのかい?ボクは少し別件で用があるからね、席を外させてもらうよ。どちらが勝つにせよ、戻ってくるまでには決着をつけておいておくれ」
「この……!」
煽り言葉を置き土産に、得体の知れない気配が遠ざかっていく。かれこれ3回目の遭遇だというのにまたもや喋りたいだけ喋ってどこかへ行ってしまった「何か」に対してもはや呆然とするしかない僕とは対照的に、いら立ちを隠せないアモンが自身の左腕から僕の方へ視線を移す。
「ふん、まあいいさ。あの化物も、いずれは僕の糧となる。それに、奴の言うこ
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