ターン70 鉄砲水と封印の神
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「……アモン!アモン・ガラム!」
一日中エクゾディアを追いかけまわし、アモンに声をかけることができたのはなんと日が西の空に沈もうとする黄昏時だった。カイザーたちと別れたのが早朝だったことを考えるとひどいタイムロスだが、仕方がない。下手にエクゾディアが実体化しているときに勝負を挑んでも踏みつぶされるのが落ちだろうから、アモンがエクゾディアをカードに戻すわずかな隙ができるまで付かず離れずの距離を気づかれないように進むしかなかったのだ。
でも不思議と、その時間を辛いとは思わなかった。アモンだって人間だから必ずどこかで下に降りる時が来るのはわかっていたし、こんな耐久レースごときで音を上げていたらそれこそケルト達に天国だか地獄だかで笑われてしまう。それにそのおかげで、道中見つけた湧き水から水妖式デュエルディスクに水を入れ直すこともできた。
一度眠りにつくつもりだったのか、適当な木にもたれかかって座るアモン。僕の声に反応して閉じていた眼を開き、ゆっくりと立ち上がった。
「……驚いたな。まだ何か用か?エドの仇でも討ちに来たか?」
「覇王は僕の手で倒した。この世界にもう王はいらない、だから今度はアモン、お前の番だよ」
オブライエンの存在はあえて伏せておく。どうせ黙っとけばばれることはないだろうし、それだけのことで必要以上にこっちを警戒してくれるならこちらとしてもその方がやりやすい。
そのことを知っているのは僕らを除くとグラファぐらいだろうが、あの老獪な悪魔のことだ。おおかた自分の息がかかった人間が覇王の支配に終止符を打った程度の大まかなことしか表には出さず、なんとなく美談っぽく纏め上げて流布していることだろう。グラファ側にもオブライエンの存在を表に出すメリットがない以上、わざわざ登場人物を増やす必要はないはずだ。
「なるほどな。それで、わざわざ止めに来たという事か?まったくご苦労なことだ。エクゾディアの力を手に入れるため、僕がどれだけの犠牲を払ったのかは君も見ていただろう?それでもなお、今更僕を止められるとでも思ったのか?僕はこの世界の王となる。それが、彼女にできる最大限の手向けだよ」
「……へぇ。だったらこっちも言わせてもらうけど、僕はこの場で絶対にその覇道を止めてみせる。それが、覇王を倒せばきっと平和が戻ると信じて!こんな僕のために!命を賭けて道を開いてくれた、ケルト達への手向けなんだ!」
できるだけ感情を抑えようと努力はしていた。けれど、いざアモンを目の前にしているとだんだん心の底からこみあげてくるものを抑えられなくなってきて、最終的には声を荒げてしまった。
でもそれは、それだけ僕も本気で怒っていることの裏返しだ。怒っているというより、半ば呆れていると言った方が近いかもしれない。エドと対峙していたときにも感じたが
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