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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十七話 イゼルローン要塞へ
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ます。
声をかけ辛い雰囲気が有って少し離れた所で大佐を見ていると、大佐は私に気付いたようです。私を見て困ったように溜息を漏らしました。ですがそれがきっかけで大佐に近づくことが出来ました。
「あの、さっきの作戦案、凄かったです。あんな作戦案が有るなんて……」
気が付けばそんな事を言っていました。大佐は不愉快になるかと思いましたがそんな事は有りませんでした。微かに苦笑を浮かべただけです。
「本当は陸戦隊を見殺しにするつもりだったんです。その責めをロボス元帥に負わせ失脚させる……。その方が同盟のためになると思いました。今ここで失脚させておいた方が将来的にはプラスだろうと」
「……」
そうかもしれません。今日のロボス元帥の様子を見れば誰だって大佐と同じことを考えると思います。とても遠征軍の総司令官に相応しい振る舞いとは思えません。
「ですが、それではフォーク中佐やロボス元帥となんら変わりは無いと思いました。犠牲が出ると分かっていながら自分の利益のために見殺しにする……。寒気がしましたよ」
「ですが、大佐は同盟のためを思って……」
「綺麗ごとですよ、切り捨てられる方にとってはね。自分達を見殺しにするんですから……。一瞬でもあんな事を考えたのは許されることじゃない……」
大佐は暗い表情をしていました。自分を許せないと思っているのでしょう。
「でも、あの作戦案は本当に凄いです。私だけじゃありません。皆そう思っているはずです」
私は慰めを言ったつもりは有りません。本当にそう思ったんです。ですがヴァレンシュタイン大佐は私の言葉に苦笑しただけでした。
「何も考えつかなかったんです。もうどうにもならない、思い切って撤退を進言しようと……。そこまで考えて、もしかしたらと思いました……」
「……」
大佐が溜息を吐いて天井を見ました。
「あの作戦案を採用しても帝国との間に艦隊決戦が起きるという保証は有りません。そして勝てるという保証もない。あれはイゼルローン要塞攻略を先延ばしにしただけなんです。上手く行けば要塞攻略が出来る、その程度のものです」
「……」
「それでも作戦案としては壮大ですし、見栄えも良い。ロボス元帥としても勝算の少ない作戦案にかけるよりは受け入れやすいと思ったのですが、まさか自分が更迭されることをあそこまで恐れていたとは……」
大佐が疲れたような声を出して首を横に振りました。
「ヴァンフリートで勝ったのは失敗でした」
「大佐……」
「あそこで負けておけばロボス元帥もああまで思い込むことはなかった……」
ヴァレンシュタイン大佐の声は呟くように小さくなりました。納得いきません、あそこで負ければ大勢の戦死者が出ていたはずです。
「大佐、ヴァンフリートで負ければ皆死んでいました。あそ
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