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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十七話 イゼルローン要塞へ
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します。帝国のミュッケンベルガー元帥はヴァンフリート星域の会戦で敗れてから艦隊決戦に自信を無くしている。同盟軍が艦隊決戦を望んでも彼は要塞に籠ったまま出てこなかった……」
「!」
ワイドボーン大佐とヤン大佐が顔を見合わせています。私には二人が互いに目で何かを話しているように見えます。他にも何人かが頷きながら考え込んでいました。
「ミュッケンベルガー元帥は誇り高い人物です。次は必ず艦隊決戦を望んでくるでしょう。そこを万全の態勢で迎え撃つ」
「……」
大佐の言葉に頷く人間が増えてきました。
「帝国軍が敗北すればミュッケンベルガー元帥は失脚せざるを得ません、当然帝国軍は誰が宇宙艦隊司令長官になるかで混乱します。例え新司令長官が決まっても体制が固まるまでは時間がかかるでしょう」
「……」
「その時点でイゼルローン要塞攻略作戦を発動するのです。要塞攻略作戦はそれまでに策定すれば良い、今焦って攻撃する必要はありません。場合によっては今の作戦案をそのまま使うことが出来るかもしれません。次に来る時にはオフレッサーが居ない可能性もあります……」
あちこちで呻くような声と小声で話し合う声が聞こえました。艦橋の空気は先程までとは一変しています。重苦しい雰囲気から明らかに高揚した雰囲気に変わっていました。
凄いです! 今回のイゼルローン要塞攻略戦、とても成功するとは思えませんでした。ですが大佐はそれを逆に利用して敵を謀略にかけようとしています。作戦案に不安がある以上、無理な力攻めは皆したくないでしょう。大佐の考えに賛成する人は多いはずです。
何といっても要塞攻略の作戦案を今慌てて立てる必要はないのです。それに撤退してもこれなら周囲から責められることは有りません。ロボス元帥も受け入れやすいはずです。興奮しました、私だけじゃありません、皆興奮しています。周囲の声が徐々に大きくなりました。
私はヴァレンシュタイン大佐がロボス元帥を嫌っていると思っていました。将官会議でロボス元帥をやり込めたのもそれが有るからだろうと。でも大佐はちゃんと代案を考えていたんです。同盟軍が勝つための代案を……。
大佐は個人的な感情で作戦参謀としての任務を忘れるようなことはなかった。それどころかこんな凄い作戦案を考えるなんて、本当に凄いです。軍人として能力だけじゃなく、その姿勢まで本当に凄いんだと思いました。
こんな凄い人が帝国に居たんだと思うと恐ろしくなります。少なくとも私の知る限り同盟には大佐に匹敵するような人がいるとは思えません。
グリーンヒル参謀長も頻りに頷いています。顔面が紅潮していますから参謀長も興奮しているのでしょう。ワイドボーン大佐もヤン大佐も言葉を交わしながら頻りに頷いています。
「面白い作戦案だな、ヴァレンシュタイ
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