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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十七話 イゼルローン要塞へ
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自殺行為です。
「作戦案は変更しない、あの作戦案で行く」
「しかし、あの作戦案には欠点が……」
「反対なら代案を出せ」
「……」
ロボス元帥は顔に厭な笑みを浮かべながらグリーンヒル参謀長を見ました。参謀長は顔を強張らせています。ワイドボーン大佐もヤン大佐も顔を顰めています。代案なんてそんな簡単に出るわけが有りません。
「代案がないなら口を出すな!」
「……」
勝ち誇ったようにロボス元帥が言い放ちました。そして満足そうに艦橋を見渡します。自分の思うようにできて満足なのでしょう。まるで子供です。
「撤退を進言します」
「!」
周囲の驚く中、ヴァレンシュタイン大佐が無表情にロボス元帥を見ていました。グリーンヒル参謀長もワイドボーン大佐もヤン大佐もそしてロボス元帥も呆然としています。
「撤退だと、気は確かか、ヴァレンシュタイン」
「正気です、撤退と言っても戦略的撤退です」
「……」
心底呆れたように言うロボス元帥にヴァレンシュタイン大佐は冷静に答えました。
戦略的撤退? 皆が訝しげな顔をしています。周囲が疑問に思う中、大佐の声が流れました。
「一旦イゼルローン要塞に接近します。その上で帝国軍に艦隊決戦を申し込むのです。決戦の場はティアマトかアルレスハイム。我が軍は決戦の場まで後退します」
「馬鹿馬鹿しい、帝国軍がそんな児戯にも等しい挑発行為に乗ると思っているのか」
吐き捨てるようにロボス元帥が言いました。周囲にも頷く人間がいます。私もそう思います、大佐らしくありません。一体何が目的なのか……。
「敵が挑発に乗るようであれば艦隊決戦を行い、敵を撃破、損害の度合いにもよりますが余勢を駆ってイゼルローン要塞の攻略を実施するのです。つまり敵を分断し、各個に撃破することになります」
「!」
皆が顔を見合わせています。納得したようなしないような妙な表情です。各個撃破は分かりますがそれは敵がこちらの挑発に乗ればです。そう上手く行くとはとても思えません。皆も同じ思いなのでしょう。
「馬鹿馬鹿しい、何度も言うが帝国軍が挑発行為に乗ると思っているのか? 貴官はそれほどまでに帝国のミュッケンベルガーを愚かだと思うのか、話にならん。大体帝国軍が挑発に乗らなかったらどうするのだ」
「その時はハイネセンに戻ります」
「ハイネセンに戻る? 馬鹿か、貴官は。一体何を考えている。話にならん。グリーンヒル参謀長、よくもこんな馬鹿を重用しているな、呆れたぞ」
ロボス元帥はここぞとばかりヴァレンシュタイン大佐を罵倒しました。グリーンヒル参謀長も困惑を隠しません。でも大佐は平然としています。まるで自分が罵倒されているとは理解していないように見えます。
「ハイネセンに戻ったらフェザーン経由で帝国に噂を流
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