25話 日常回その2
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るがないわよ。それに、明日の帰国は夕方くらいだからね。たまには一緒にご飯にでも行かない?』
アヤネのその言葉には確固たる自身が宿っており、落とすとは微塵も考えていないようだあった。が、言葉にはしなかったが鬼一もその言葉には無言の肯定を示す。実力的にそれだけアヤネが突出しているという意味。
―――……外出、か。状況を考えたら出来ないんだよな。セシリアさんとの約束もあるしアヤネさんには悪いけど―――。
「行きたいのは山々なんですけど―――」
「鬼一くん、ついて行ってもいいなら私が護衛についてもいいわよ?」
「いや、流石にそれは……」
ただでさえ自分のせいで時間を割いてもらっているのに、これ以上自分のせいで時間を割いてもらうのは申し訳ないと考えている鬼一にとっては到底頷けるものではない。
『え、ちょっと待って鬼一。今、女の子の声がした! しかも私のカンに間違いなければとんでもなく可愛いの女の子! こっちがヒイヒイ言ってる間、そっちは宜しくやってるってこと!?』
電話口から焦ったようなアヤネの声に鬼一は耳から携帯電話を遠ざける。やらかした。
「違います違います! 可愛いのはともかくとしてそういうのじゃないです! というかなんですか、その食いつきの良さは!」
『いいから電話変わりなさい! 姉としてその女の子を知る責任があるわ! さっさと紹介しなさい!』
「声が笑ってますよ! 絶対自分が楽しみたいだけじゃないですか!?」
『当たり前じゃない!』
「認めやがったよこの人!」
『年がら年中遠征してたらノンビリ恋愛なんてしてる暇なんてないのよこっちは! 鬼一だって知ってるでしょ!?』
プロゲーマー、と言ってもピンからキリまでいる。勝てば勝つほど試合数は増えるし遠征数も増えていく。トッププレイヤーにもなればポイントを稼ぐための各トーナメントやリーグ戦は言うに及ばず、ワールドリーグや国別対抗戦、と言った一握りの人間しか参加出来ない大会にも出場することになる。
鬼一もそうだったが自身の母国である日本よりも海外にいる時間の方が長くなる。そもそも1つの場所に留まるということが無くなっていくのだ。必然的に恋愛などに割ける時間は減っていく。
「それは分かってますけど、柿原さんたちだって結婚してるじゃないですか!」
『あの人たちと私を一緒にしないで!?』
「めんどくさいなこの人!?」
「鬼一くん鬼一くん」
「……なんです?」
楯無に肩を叩かれた鬼一は億劫そうに振り向く。その表情は心底めんどくさそうだ。
「なんか話が進まなさそうだから私に変わってくれない? 一度は話してみたいと思ってたし」
「……ですが、ってちょっと!?」
鬼一が返答する
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