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霊群の杜
柿の精
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営みだというなら…俺はもう人に産まれたくない。そう云って俺は泣いた。忘れろ、思い出すな。少年は繰り返し俺に云い聞かせる。
俺はもう、柿なんか嫌いだよ。少なくとももう、この柿の実は食べない。『食べ滓』となった少年を埋めた柿の木の下で俺はそう誓った。…おかしな話だが、妙に納得した。泣きながら誓った俺を、遠くからもう一人の俺が見ている感じだろうか。
「お前は、何も食べてないみたいなのに。柿も貰わなかったのに」
お前は食べなくても平気なのか?そう、眼鏡の少年に問う。少年はにやりと笑うと、人が居ないことを確認してから呟いた。
「俺はあいつのようにお人よしじゃないよ」



―――そこでようやく目が覚めた。



備えろ。あの子はそう云った。
あの子が俺に伝えたかったのは、飢饉に備えろということだったのだろうか。この平成の世に。
それとも…もっと違う何かに『備えろ』と、云いたいのだろうか。
恐ろしいほど賢しい、あの子は。

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