そうして君は泣いていた
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きそうに顔を歪めてこくりと頷く。一に相棒二に相棒、三四も相棒五も相棒の思考回路を持つ彼からすれば、今のはとんでもないダメージに違いない。クロスのように大袈裟すぎる程(ただし本人は至って真剣)にショックを受けている訳ではないが、恩のある相棒の世話のとにかく焼きたいヴィーテルシアからすれば、相棒の現状をどうにも出来ないのは歯痒いのだろう。
「…ダメだった」
「だ、大丈夫よ!ナツなんて声かけたら殴られてたし、返事があっただけ凄いって!ね、ハッピー」
「あ、あい!そうだよ、そんなにがっくりしなくても大丈夫だよ!」
ハッピーと二人で必死に励ますが、その肩は落ちたまま。すらりと背の高い青年姿が小さく見える。
骨の髄まで従者気質、とでもいえばいいのか、とにかく世話を焼きたいヴィーテルシアを頼ったのが間違いだったか、と思う。決してそれは彼が力不足であったとか、悪い意味ではない。ただ失敗した時に誰よりもショックを受けてしまうだろうから避けるべきだったと、今更ながらに思っただけで。
「だが…どうしたんだ?ギルドを出てからずっとああだと、流石に無視も出来ん」
「解らない…俺に解るのは、考え込んでいるが答えが見つからずに苛ついているんだろうな、くらいで……」
「え、散々待たされた事に苛ついてるんじゃないの?」
「それはないと思う。ティアは長々と苛立ちを引きずらないし、過ぎた事を思い出して苛つくなんて馬鹿らしい、とっとと忘れてしまえと言い切る奴だからな」
すす、と近づいてきたエルザも交えながら、ちらりとティアを盗み見る。
仕事がようやく決まり、見送られながらギルドを出た辺りまではよかった。それから三分もしないうちにティアの異変に流石は戦友のナツが気付き、声をかけたら無言で殴られるまでは、いつも通りだったのだ。
ギルドを出て歩き出してからもうすぐ三十分。ナツが理由も解らず殴られてからも声をかけてはみたが、邪魔するなと言わんばかりに睨まれるか、目すら向けられずに無視されるかの二択。最初は「放っておいた方がいい」と言っていたヴィーテルシアも流石にそうも言ってられなくなったらしく控えめに声をかけて、今に至る。
「ねえナツ、何か解んないの?」
「知らねえよ、アイツが苛つく事なんて……いや、アレか?それともアレか?もしかしてアレ気づかれたのか!?」
「オメーは何をどれだけやらかしてんだよ!?クロスに斬られるぞ、笑顔で」
「目が笑ってないやつだね」
「はーっはっはっは、と高笑い付きでな」
「どこまで逃げても追われ続けるんでしょ」
「逃げ切ったと思ったら、気配を消して背後に立ってるんだろうな」
言いながら、それぞれが挙げた特徴を足してみた。
……剣を構え、目が一切笑っていない笑顔で高笑いしつつどこまでも追いかけ回し、気づけば背後から「
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