そうして君は泣いていた
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が出て来ない。上手く言葉にならない。けど言わなきゃ。このまま黙ったままじゃいけないって、解ってるのに。
「……あ」
そっと、頭を撫でられる。目を上げると、ちょっと背伸びしたサヤが僕の頭に手を乗せていた。
目が合う。笑うようにサヤの目が細められて、その姿がちょっとだけあの子に重なった。
……僕ってば軽いなあ。自分でも思う。言いたい事が言えなかったくせに、サヤとあの子を見た瞬間にさらっと声に乗せられちゃうんだから。
「……それでね、サヤ」
今なら言える。
ずっと一緒なんて約束に頷けなくても、それなら絶対に頷ける約束をしよう。
「もう一回、もう一個、約束をしようか」
約束を破った僕が言っていい事じゃないだろうけど、それでも僕は。
「あのね、内容は単純なんだ。本当に簡単で、難しい事なんてないんだよ」
例えここが夢の中であっても。
ここにいる君が、僕が作り出した偽者であっても。
「僕はずっと君を忘れないし、ずっと君を大好きなままの僕でいる」
これはもう、一方的なんだから。
もうこの世に君はいなくて、ちゃんとした約束なんて、最初から出来やしないから。
「臆病者の僕だけど、毎月会いに行くよ」
これは、僕は一方的に誓うだけ。
「……ね、約束」
小指を差し出すと、サヤは、笑って小指を絡めてくれた。
「もういいの?」
「ああ、十分だよ。付き合わせてしまって悪いね」
「それはいいけど…」
「……私は加害者だ、言い逃れなんて出来やしない。本当は、こんな事をする権利だってないんだろう」
「彼を殺したのは、別の人なのに?」
「それでも同罪だよ。……それは、解ってるんだけどね」
「けど、友達の命日に、何もせずにはいられないんだよ」
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